[ オピニオン ]
(2018/4/24 05:00)
日本初の商工会議所として東京商工会議所が設立されて、今年は140年の節目にあたる。社会や経済構造が大きく変わる今、あらためて設立理念に思いをはせて、民主導の経済成長を確固たるものにしたい。
東商設立は1878年(明11)。西南戦争で政府軍が勝利した翌年で、近代国家の幕開けと重なる。設立に尽力し、初代会頭を務めた渋沢栄一が目指したのは「商人の輿論」形成。明治政府にとって喫緊の課題は、関税自主権を持たない不平等条約の改正だった。「世論が許さない」と改正交渉に臨む日本を、英国側は「日本に世論があるのか」と突き放したという。こうした現実を目の当たりにした渋沢ら経済人は、産業界の声を代表する組織の必要性を痛感。東商設立へ駆り立てていった。
21代目となる三村明夫会頭は「日本再出発の扉を開くのは民の力」と語り、「民の力を強くしなければ世の中の繁栄はない」と訴えた渋沢の理念に、いまの日本を重ねる。
日本経済は堅調に推移している。しかしデフレからの脱却は道半ばであり、潜在成長率も1%程度と低迷。少子高齢化に伴い深刻化する人手不足をどう乗り越えるのか、経済社会の姿を大きく変えるデジタル革命の波にどう立ち向かっていくか。企業はさまざまな課題に直面する。
これら制約条件を克服し、日本を再び成長軌道へと導くカギは民間のイノベーションだ。政府は、民間の創意工夫を促す環境整備と、財政をはじめ、国の基盤に対する不安を払拭(ふっしょく)し、これを後押ししてほしい。
他方、政策決定プロセスで官邸主導が強まるからこそ、設立当時の東商が目指した産業界の声を代弁する役割は重みを増している。懸案の財政健全化に道筋をつけるため、消費増税の確実な実施や踏み込んだ歳出改革など、産業界として政府に説得力のある内容を示すよう迫る姿勢が期待される。
ノスタルジックに明治をしのぶのではない。140年を次代の日本経済、社会の持続的発展を考える機会としたい。
(2018/4/24 05:00)
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