[ オピニオン ]
(2018/5/2 05:00)
ある中小企業で珍しい肩書を見かけた。名刺に「シニアプロ」とある。思わず質問しようとすると「ゴルフ選手ではないですよ」とにっこり。長年培った経験と知識を生かし、定年退職後も営業の指導役を担っているという。
「シニア」と呼ばれる人が、社会の第一線で活躍するケースが増えている。直接、お会いする機会も少なくない。70代以上の熟練工を何人も抱える中小企業では、彼らが若手社員から尊敬のまなざしを向けられていた。業界団体の懇親会でも多くの人に囲まれる人気ぶりという。
別の中小企業は、特定分野の他社の退職者を積極的に受け入れている。社員の平均年齢は、実に69歳。ベテラン技術者の能力を生かして差別化する作戦だ。社長は「働きたい人が生涯、働ける場をつくるべきだ」と強調する。
大学の教員だと定年が65歳以上というケースもある。ある先生は自分の意志で他の大学に移籍した。「定年まで残ったら、次は第一線から外れたところしか行けない」というのが、その理由。宣言通り、移籍後も優れた成果を出している。
現代のシニアは、昔の老齢世代と比べて若々しい。「シニアの活躍」がニュースにならなくなるぐらい、活躍の場を広げてもらいたい。
(2018/5/2 05:00)