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(2018/5/25 05:00)
切断機・ベンダー(曲げ加工機)・端末加工機は、パイプ材や板・棒材などの金属材料や樹脂材料の2次、3次加工に欠かせない存在で産業界に広く浸透している。「切る」「曲げる」「絞る」といった製品・部品の製造工程に欠かせない技術で、これらの進化が生産性向上や効率化に大きくかかわっている。難削材の利用拡大など加工対象物(ワーク)が多様化するなかで、メーカーは加工の高精度・高速化、作業省力化などに力点を置き、ユーザーの競争力を高める製品の開発や機能向上に挑戦し続けている。
ユーザーの競争力アップへ
金属や樹脂などの材料の切断は刃物のほか、プラズマ・アーク切断、ウオータージェット、レーザー、プレスによるせん断など、その手法はさまざまだ。ウオータージェットは高圧に加圧された水で切断するもので、材質への熱影響がなく、騒音も低減でき、粉じんの発生もない。
引火性もないので火気厳禁場所での作業に適する。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、チタンなどの精密加工、コンクリート構造物の切断や解体にも使われるなど用途は幅広い。レーザーは熱影響が少なく、薄鋼板の精密切断などに向いている。
パイプや板材の切断については、丸鋸による機械式切断の需要が多い。この丸鋸切断機では加工の高精度化とともに、高速化による切断時間の短縮が追求されている。
あるメーカーでは切断時間を従来機比で30%短縮した大型の全自動式超硬丸鋸切断機を開発。主軸の動力の向上や高速専用刃の搭載で切断速度アップを実現した。自動車部品や鋼材など生産現場での利用を想定している。
ステンレス鋼や高張力(ハイテン)鋼といった難削材への対応も進んでいる。鋸刃に特殊なコーティングを施すことで、切断寿命を飛躍的に延ばした丸鋸もあり、棒鋼や条鋼、鋼管などの切断工程などで威力を発揮している。
さらに、切りくずの発生を抑えるため、高速度鋼(ハイス)などを採用して鋸刃の厚さを薄くする薄肉化の技術もある。刃を薄くすると、ワークとの摩擦抵抗が減り、切断スピードも上げられる。切りくずの発生量は刃の厚さに比例することから、その削減につながる。
これによって被削材の歩留まりが改善し、量産部品や単価の高い高級部材では、その効果はより大きなものとなる。薄肉化によって切削抵抗も減るので、切断機のモーターへの負荷が低減し、消費電力の削減も可能となる。
ベンダーはパイプや棒、線材などに連続的に圧力をかけて、任意の形状に曲げ加工する。試作品や小ロット生産対応の手動式がある一方で、3次元複雑形状を連続加工できるコンピューター数値制御(CNC)タイプが普及している。
省力化・自動化は自動車部品の製造で特に進んでおり、ロボットアームを搭載して複雑な曲げ加工を1台でこなす加工機なども投入されている。また素材供給から切断、穴開け、曲げ、絞りの各種工程を担う機械をつないでライン化することで、一段の生産性アップをサポートする提案も積極的に行われている。
こうした省力化・自動化へのニーズは、熟練作業者の減少や少子化による労働力不足を背景に今後、さらに広がりを見せる可能性がある。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の活用によるソリューションの提供についても拡大傾向がより顕著になっていくものとみられる。
(2018/5/25 05:00)