[ 政治・経済 ]
(2018/5/31 23:30)
トランプ米政権は欧州連合(EU)とカナダ、メキシコ製の鉄鋼とアルミニウムへの関税を発動すると発表した。こうした同盟諸国は即座にこれを非難した。
一時的な関税適用除外措置は米東部時間6月1日午前0時1分に期限切れとなる。トランプ政権にとって、主要な貿易相手国に対する行動としては、これまでで最も積極的なものだ。こうした諸国は恒久的な適用除外を求めていた。米鉄鋼輸入全体に占めるEUとカナダ、メキシコの比率は合わせて約40%。
EUは速やかに報復措置を取ると表明したほか、メキシコは米国産の平鋼からチーズに至るあらゆる製品に関税を課すと言明した。
カナダは米国製の鉄鋼とアルミニウムに7月1日付で関税を課すと明らかにした。米国が関税を取り下げるまで続けるという。鉄鋼とアルミ以外も含め、最大166億カナダ・ドル(約1兆3900億円)相当の製品に適用される。
欧州委員会の ユンケル委員長は米国の発表を受けて、「世界貿易にとって不幸な日になった」と指摘。「世界貿易において、1国が一方的な措置を導入することは全く受け入れられない」と述べた。
今回の鉄鋼関税で貿易戦争を巡る懸念が強まりそうだ。トランプ政権は自動車輸入への関税も検討している。自動車関税はメキシコやカナダ、日本、ドイツなどに打撃となる可能性がある。米政権は中国製品500億ドル(約5兆4400億円)相当への関税も計画している。
EUは31日、報復関税を課すと発表。EUはこれより先、報復措置についてハーレー・ダビッドソンのオートバイからリーバイ・ストラウスのジーンス、バーボンウイスキーに至る米国製品33億ドル相当を対象にすると示唆していた。EUは米国の輸入制限に関して、世界貿易機関(WTO)への提訴も計画している。
ロス米商務長官はEUとの貿易交渉、および北米自由貿易協定(NAFTA)改定に向けたカナダとメキシコとの協議で十分な進展がなかったため、鉄鋼関税の恒久的な適用除外の対象にはできないと判断したと明らかにした。
ロス長官は31日の記者ブリーフィングで、「われわれは引き続き、こうした全当該国とのさらなる協議にかなり前向きで意欲的だ」と発言。「彼らの反応を待っている」と述べた。
31日の米株式相場は下落。米商工会議所などのロビー団体は関税を発動しないよう政権に求めていた。
ロス氏は解決しなくてはならない「他の問題もあるため」、カナダとメキシコ、EUとの「交渉継続」を心待ちにしていると指摘。将来的には「柔軟性」を持たせることも可能だとし、トランプ大統領には関税を引き上げたり引き下げたり、撤廃あるいは制定する権限があると続けた。(ブルームバーグ)
(2018/5/31 23:30)