[ ICT ]
(2018/7/4 12:30)
米携帯電話事業者 TモバイルUSによる スプリント買収計画が米安全保障上の脅威になるとして、一部の米議員はトランプ政権に同計画の詳細な精査を求める方針だ。スプリントの親会社と中国の通信機器最大手、 華為技術(ファーウェイ)との関係を理由に挙げている。
米安全保障面からの買収計画審査を主導する ムニューシン財務長宛ての書簡草案がまとめられ、来週送付される予定。この書簡は買収計画に反対する議員によって、署名を求めて下院で回覧される。ブルームバーグ・ニュースが書簡草案の写しを入手した。
書簡草案は「これら企業が外資系企業の子会社として運営されていることを踏まえると、国家安全保障上での全面的かつ強力な調査が必要だ。こうした企業の一つは中国政府の影響力が及ぶ事業体と長期にわたる親密な関係を維持している」と記している。
Tモバイルによるスプリント買収計画は外資よる米企業買収を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)の承認が必要だ。 トランプ大統領は同委員会の勧告に基づき計画を阻止する可能性がある。合併新会社の持ち株比率はTモバイルの親会社ドイツテレコムが42%、スプリントのオーナーであるソフトバンクグループが27%となる。ソフトバンクとスプリントの担当者にコメントを求めたが、回答は得られていない。
書簡草案は、国家安全保障上の脅威と米政府から名指しされている華為技術とソフトバンクの関係に言及。昨年9月にソフトバンクが次世代高速通信「5G」活用の可能性に関するデモンストレーションを華為技術と共同で実施したと発表し、11月にはソフトバンクがロボットの5G活用の実証実験をめぐり華為技術と契約した点を指摘した。「米国の5Gインフラ発展の中でスプリントとTモバイルの合併は華為技術を含め第三者の外国事業体の活用に関係する通信リスクを高める恐れがある」と警告している。
書簡草案ではソフトバンクに売却される条件としてスプリントが2013年に米政府と交わした安全保障上の合意に違反したとも主張。合意はスプリントが同社のネットワークから華為技術の機器を除外することを求めていた。「3年後にスプリントはソフトバンクの下で華為技術の機器がネットワーク上で引き続き使用されていることを確認しており、13年の合意への違反だ」としている。(ブルームバーグ)
(2018/7/4 12:30)