[ 政治・経済 ]
(2018/7/20 11:00)
【ワシントン=時事】トランプ米政権が検討する自動車・同部品の輸入制限をめぐる公聴会では、米国内外から異論が噴出した。自動車生産はサプライチェーン(供給網)の裾野が世界に広がっており、最大市場である米国が追加関税を導入すれば、世界経済に深刻な悪影響を及ぼしかねないからだ。
国際通貨基金(IMF)は、米国が既に実施した追加関税や各国の報復関税に加え、米政権が今後検討する自動車などへの措置によって世界の国内総生産(GDP)が2020年までに最大0・5%、4300億ドル(約49兆円)減少すると警告する。地域別には米国が0・8%、日本は0・6%落ち込む恐れがあるという。
米国の昨年の輸入車台数はメキシコ、カナダ、日本の順で多かった。米国向け自動車は日本の対米輸出年間総額(15兆円強)の3割に及ぶ。米国が日本を含む外国製乗用車に課す関税を25%まで引き上げた場合、日本企業の関税負担が年約2兆2000億円まで増えるとの民間試算もある。
自動車メーカーや輸入業者の関税負担が販売価格に転嫁されれば、米国の消費者にも打撃だ。米最大手ゼネラル・モーターズ(GM)の国内販売は海外生産車が3割弱を占めるほか、一般的に米国産車に使われる部品の多くは中国製やメキシコ製とされる。米産業界は、関税が大幅に引き上げられれば、輸入車1台当たり6000ドル(約67万円)程度、米国車は2000ドル(約22万円)程度値上がりすると分析している。
(2018/7/20 11:00)