[ オピニオン ]
(2018/10/3 05:00)
第4次安倍改造内閣が発足した。新総裁任期である2021年9月まで首相を務めれば、憲政史上最長の桂太郎を超える。団塊世代が全員75歳以上となる「2025年問題」が迫り、国民は「将来への不安」を感じている。3年で日本の針路が決まると言っても過言ではない。「超長期政権」が視野に入った今だからこそ、長期的な課題に正面から取り組むべきだ。
新内閣は、内閣の要である官房長官はじめ、財務、経産、外務の重要閣僚を留任させ、新内閣を支える体制を維持する。
最大の課題は人口減少と社会保障だ。日本は「人口減少」という未曾有(みぞう)の時代を迎えている。従来日本の社会保障が前提としてきた社会が変わろうとしている。人口減少は、突然に発生したわけではない。日本の家族と雇用システムの変化が大きく関わっており、そうした変化の行き着く先として生じた社会現象だ。この変化に対応した新たな社会保障システムが必要だ。
大きな方向としては、「全世代型」への転換だ。目標としては、(1)若い世代の結婚・子育ての希望をかなえて、出生率を回復し、「持続可能な社会」とする(2)非正規雇用者や単身高齢者など世代や職業を問わず、社会的孤立のリスクを抱える人々を地域で受け止める「地域セーフティーネット」を実現する(3)高齢になっても意欲と能力を生かして就労や地域活動に参加し、社会の担い手として「生涯現役社会」を実現する―の三つ。
この目標を実現するには、高齢者支援中心の構造から転換していく必要がある。給付面では、「子育て支援」強化をはじめ、「地域セーフティーネット」の構築、「高齢者の就労・地域活動への参加促進」を進める。一方、負担面では、社会保障の「支え合い構造」を再構築する。「世代間」と「世代内(特に高齢者世代内)」の支え合いの強化、さらに「社会保障の基盤」の強化が課題だ。
経済はもちろん、社会保障や財政の持続可能性に道筋をつけて、「日本をこういう国にする」というビジョンを示されなければ、不安は解消されない。
(2018/10/3 05:00)
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