[ オピニオン ]
(2019/2/20 05:00)
日韓関係が泥沼化している。「元徴用工訴訟」で勝訴した原告側が、敗訴した新日鉄住金から差し押さえた韓国内の資産を売却し、現金化する手続きに入る考えを表明した。日本政府は「日本企業に実害が出れば、対抗措置に出る」と警戒を強めている。1965年の国交正常化以来、最悪の状況にある日韓関係の修復に向けた韓国政府の積極的な関与を望む。
韓国の元徴用工や元女子勤労挺身(ていしん)隊員が損害賠償を求めた訴訟では、三菱重工業や不二越にも賠償を命じる判決が示された。これを受けて原告側が、両社の資産を差し押さえる申請に踏み切る可能性に言及している。このような事態になれば、韓国への直接投資に対する影響は避けられない。
日本政府は日本の企業に対する賠償請求権の行使について、同年に結んだ日韓請求権・経済協力協定に背くものだとし、韓国政府に協議を再三要請してきた。資産の売却を韓国政府が容認すれば、請求権協定を一方的に破棄することに等しい。
日韓間では、韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射など、両国の関係を損ねる問題が立て続けに起きている。背景には朝鮮半島情勢や対中関係の変化がある。北朝鮮をめぐる緊張の緩和と、中韓の経済的な連携の強まりで、日韓関係に対する意識が薄れつつあるとされる。
だが、日韓が未来志向の関係を今後も続けるなら、こうした傾向とは一線を画す必要がある。非核化や大量破壊兵器の廃棄をめぐる北朝鮮の動きには今なお不透明感があり、2月末の米朝首脳会談でいかなる前進があろうと、日米韓をはじめとする国際社会が、その履行を厳しく監視していかねばならない。経済面でも、一帯一路構想の陰に見え隠れする中国の覇権主義に対するけん制が必要だ。いずれの点でも、日韓関係の重要性が色あせることは当面ない。
韓国の文在寅政権には日韓を取り巻く課題を再認識し、請求権協定、さらに国交正常化を目的とした日韓基本条約の精神に立ち返って、関係修復を急ぐよう求める。
(2019/2/20 05:00)
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