[ ロボット ]
(2018/10/21 07:00)
三重苦と格闘
小さく、手が長く、力持ち-。こんな相反する特徴を求められるロボットがいる。インフラ保守や災害対応分野のロボットだ。たとえば工場内でロボットが生産設備を点検するために移動するには、配管が林立する狭い空間で、限界までアームを展開し、固く締まったバルブを開ける必要がある。だが小さなロボットは長いアームを支えられず、アームを伸ばしきった状態では力強い作業が難しい。ワールド・ロボット・サミット(WRS)インフラ・災害対応部門では、このトリレンマ(三重苦)問題と格闘している。日本のロボットが活躍するチャンスでもある。(小寺貴之)
テーマは災害対応とインフラ保守
WRSのインフラ・災害対応部門のテーマは災害対応とインフラ保守の両立。日常で点検に利用するロボットを災害や事故時にも投入する狙いがある。
だが海外の災害対応ロボは大きく、重く、パワフルなものが多い。これは軍事用や対テロなどのニーズがロボット開発をけん引してきたためだ。
そのため災害対応ロボにはスリム化が求められている。走行性能や力強さはそのままに、機体を小さくして、配管の間やキャットウォークと呼ばれる点検用の狭い通路でも働く必要がある。
18日はプラントの点検中に事故が起こり、ロボットが消火栓を開いて消火するタスクが始まった。このタスクで長岡技術科学大学などのチームが最高点をたたき出した。2位のチームに比べて1・7倍の点を獲得した。
高出力のモーターでアームを回転
長岡技科大のロボットは日本の木造家屋を想定して作られた。倒壊した家屋の中で要救助者を捜索する。
そのためシステムをコンパクトに構成した。アームは展開して1メートルとそれほど長くはない。ただ先端に3本爪ハンドを備え高出力のモーターで回転させる。これがバルブの開閉に有効だった。
リーダーを務める塩谷昌行大学院生は「アーム先端のモーターが強い。初期消火タスクでは三つすべてのバルブを回せた」と胸を張る。
キャットウォークでも活動
(2018/10/21 07:00)