[ オピニオン ]
(2018/11/21 05:00)
ある中小企業経営者が中国現地法人の訪問を終え、空港に向かうバスに乗った時のこと。後ろに座った若者が肩をポンとたたき「30元(約500円)貸してくれ」と言う。30元はバスの運賃で現金でしか支払いができない。
「見ず知らずの外国人に必ず返すと言われても」と戸惑っていると、現法の中国人スタッフがさっとスマートフォンを取り出した。二人はスマホで簡単なやりとりをすると「振り込み完了」とほほ笑んだ。
中国では電子決済が現金をしのぐ決済手段として定着しており、中でもQRコードを使ったスマホ決済が主流。それは経営者も知っていたものの「個人間送金までスマホなのか」と中国の“無現金社会”を目の当たりにし、驚いたという。
日本は電子決済の普及が遅れていると言われる。電子決済は安全性や手軽さが魅力だが、リスクもある。9月末に日本を直撃した台風24号。大規模停電が発生した静岡県内のコンビニエンスストアでは、店員が「支払いは現金のみでお願いします」と頭を下げていた。
有事にも必要最低限の買い物はできるように。今後、日本でも電子決済が普及していく。高齢者への支援や災害時対策など、バランスを考慮した進め方が必要だろう。
(2018/11/21 05:00)