[ オピニオン ]
(2018/11/22 05:00)
24時間空港の利点を生かした北九州空港の存在感が増している。同空港が拠点のスターフライヤーは10月末に国際定期便を就航した。一方、全日本空輸も6月から国際定期貨物便の運用を始めた。福岡県内には国際空港の福岡空港があるが「混雑空港」のため、航空各社の新規乗り入れや発着枠拡大が難しい状態が続く。補完する意味からも100キロメートル圏内にある北九州空港の存在が欠かせない。
スターフライヤーは北九州・中部の2空港と台北(桃園)を結ぶ新路線に参入した。2014年3月に韓国・釜山線を休止して以来、ほぼ4年半ぶりの国際線再参入となる。当初は福岡―台北線も予定していたが、福岡空港の発着枠が獲得できなかったため断念したが、松石禎己社長は「福岡発の獲得は今後も目指す」としており、県内2空港を利用した業容拡大を狙う。
また、全日本空輸は24時間運用の利点を生かし、深夜発便で沖縄・那覇空港を経由して上海などアジア主要6都市に貨物便を運ぶ業務を始めた。傘下のANAカーゴ(東京都港区)が業務を担い、19年度7000トンの取扱量を見込む。これまで関西や成田空港に一度輸送していた貨物が九州から発送可能となるため、迅速な輸出が図れるという。自動車や電子部品のほか、生鮮食品などにも期待する。
北九州空港の17年度利用者数は約164万人。約2380万人の福岡空港と大きな開きはあるものの、訪日外国人(インバウンド)増加で過去最高を記録した。16年末の韓国の格安航空会社(LCC)ジンエアーなどの就航も後押しし、今後もLCC誘致による観光客増を狙う。
九州最大都市・福岡市に近い北九州空港は、福岡空港の代替機能を果たすことで成長が可能だ。滑走路が1本しかない福岡空港は常に過密状態で、使い勝手が悪い。北九州空港へ国際線利用を一定数移すほか、災害など有事の際に代替できるようになれば利便性は高まる。福岡県と北九州市は、地方都市が二つの空港を持つという好条件を最大限利用して、地域のさらなる活性化に生かしてほしい。
(2018/11/22 05:00)
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