【電子版】インド、衛星破壊実験に成功 米ロ中に続き4カ国目

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  インドのニューデリーで、モディ首相のテレビ演説を見る男性（27日、AFP時事）

【ニューデリ＝ー時事】インドのモディ首相は27日、テレビを通じて演説し、ミサイルで人工衛星を破壊する実験に成功したと発表した。過去にミサイルによる衛星破壊に成功したのは米国、ロシア、中国の3カ国で、世界で4カ国目となる。

　モディ氏は「今や宇宙でも防衛する能力を得た。インドは宇宙大国の仲間入りを果たした」と成果を強調。「インドにとって偉大な瞬間だ。われわれ全員が誇るべきだ」と述べた。米中ロは宇宙の覇権争いを展開しているが、宇宙開発や軍事利用でインドも交えた競争が激化しそうだ。

　実験では、東部オディシャ州の施設からミサイルを発射。高度約300キロメートルの衛星を破壊した。インドは近年、宇宙進出に向けた取り組みを強化している。昨年12月には、独立75周年を迎える2022年までに有人宇宙飛行を達成するための計画を閣議決定した。

　インドは、07年に同様の実験を成功させた中国や、宿敵パキスタンとの間で領土問題を抱えている。特にパキスタンとは今年2月、互いに空軍機を撃墜し合う事態に発展し、緊張が高まった。ただ、モディ氏は「（人工衛星破壊の）能力を他国に対し使用しないことを国際社会に約束する」と述べた。

　4－5月に総選挙を控えるモディ氏にとって、宇宙開発の進捗（しんちょく）発表は指導力を誇示する狙いもある。インドでは、選挙日程の発表後、政府が選挙結果に影響を及ぼすような施策を公表することが原則として禁じられており、野党の一部は反発。ただ、地元民放NDTVによれば、選管関係者は「国防に関する発表について、選管の許可はいらない」と述べ、問題視しない考えを示したという。

米国防長官代行、宇宙ごみ発生に懸念

【ワシントン＝時事】ロイター通信などによると、シャナハン米国防長官代行は27日、インドがミサイルによる人工衛星破壊実験に成功したと発表したことについて、「（宇宙を）汚さないようにしなければならない」と述べ、衛星の破片など「宇宙ごみ」発生に懸念を示した。今回の実験自体に関しては調査中だと説明し、賛否を明確にしなかった。

　シャナハン氏はフロリダ州の南方軍司令部での会合に向かう途中、一部記者団に「宇宙は事業を展開でき、自由に活動できる場所であるべきだ」と指摘。人工衛星破壊などに関し「活動規則がないことは心配だ」とも述べ、何らかの取り決めが必要だとの認識を示した。