[ オピニオン ]
(2019/4/4 05:00)
株式、土地などの資産価格が適正価格からかけ離れて高騰する“バブル景気”の中で1989年にスタートした平成は、バブル崩壊後、低成長とデフレに明け暮れる時代となった。
89年(平成元)12月に日経平均株価は3万8957円の最高値を記録した。資産価格があまりにも実体経済と乖離(かいり)したため、不動産融資の総量規制や利上げが行われ、バブルは弾け、91年にバブル経済は終焉(しゅうえん)を迎えた。
バブル崩壊に伴い広範な業種で回収困難な巨額の不良債権が発生し、破綻する企業、金融機関が相次いだ。多くの企業がリストラを行い、失業率は5%台まで上昇した。景気の冷え込みにより需要は減退、円高による輸入物価の下落もあり、デフレスパイラルが発生した。同時に円高は製造業の海外移転に拍車をかけ、産業空洞化が進んだ。
景気が低迷した90年代は「失われた10年」と呼ばれた。この時期は大胆な景気対策が不可欠だったが、55年体制崩壊で自民党が政権の座から降り、連立政権が次々に誕生して有効な景気対策が打てなかった。2000年代に入り不良債権問題は解消に向かったが、低成長が続いて「失われた20年」と言われた。デフレ対策として日銀はゼロ金利政策、量的金融緩和に踏み切ったが、効果は薄いままだ。
02年以降、景気は上向いたが成長率は低く、「実感なき景気回復」と言われた。10年に国内総生産(GDP)で中国に抜かれ、世界第2位から転落した。
12年12月に誕生した安倍晋三政権はデフレ脱却を目指して大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間活力を生かす成長戦略を柱とする経済政策「アベノミクス」を打ち出した。金融緩和と財政出動が功を奏し、円高・株安に歯止めがかかった。しかし、賃上げで個人消費が活発化し、企業収益が増えて更なる賃上げ、物価上昇を生む経済の好循環は実現していない。
このため、新時代・令和において政府は成長戦略への取り組みを強化し、企業の生産性向上を後押しする必要がある。それが経済の好循環を生み、デフレ脱却につながるはずだ。
(2019/4/4 05:00)
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