[ オピニオン ]
(2019/4/5 05:00)
総務省と情報通信研究機構(NICT)が進めるIoT(モノのインターネット)機器のセキュリティー調査「NOTICE」が開始から1カ月が過ぎた。大規模なこの調査をめぐっては賛否が入り交じる。だが、東京五輪・パラリンピックが迫る中、IoT機器を無防備で使っている利用者はサイバー攻撃のリスクを意識すべきで、今回の調査を有益に活用してほしい。
NOTICEでは、自宅やオフィスで外部接続が可能なIPアドレスを持つIoT製品が対象。ネットワークに接続されている機器は膨大な数に及ぶが、インターネットプロバイダーなどの協力も得て全数調査する。
具体的にはポートスキャンという手法を使って、パスワードが初期設定のまま変更していない機器や、だれもが用いるパスワードを使っている機器などを洗い出す。脆弱(ぜいじゃく)性が分かった機器は、別途、利用者に通知する予定だ。
ただ、国が主導するセキュリティーに対しては「違和感がある」との声もある。知らせを受けた側にとっては寝耳に水といった事態にもなり兼ねない。
パソコンなどの情報機器はそれなりのセキュリティー機能が備わっているが、IoT製品のセキュリティー機能は千差万別。パスワードの変更やソフトウエアの更新だけで済むならばよいが、事はそう簡単ではない。
一般にソフトウエア製品には脆弱性が付きものであり、製品出荷後に不具合が生じた際には更新してパッチ(修正プログラム)を当てる。IoT製品に組み込まれているソフトウエアも同様だが、安価な製品はそもそもそういった機能がなかったり、海外製品の場合、問い合わせ先もよく分からなかったりする。NOTICEが物議を醸す背景には、こうした事情もある。
とはいえ、ウイルス感染した機器は第三者を攻撃する踏み台にされたり、大規模なサイバー攻撃に悪用されたりする。放置しておけば東京五輪で何が起こるか分からない。IoT機器の利用者はモラルとして、セキュリティーの意識を高めることが必要だ。
(2019/4/5 05:00)
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