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[ 自動車・輸送機 ]
(2019/5/27 07:00)
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は仏ルノーとの業務提携を27日にも発表する見込みだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。提携は両社の完全統合につながる可能性がある。実現すれば世界3位の自動車メーカー誕生となる。
これら関係者が匿名で明らかにしたところでは、提携には両社間の株式交換が含まれる可能性がある。ルノーのアライアンス・パートナーである日産自動車と三菱自動車は関与していないが、ルノーとFCAの統合後に参加の呼び掛けがある見込みだという。
ルノーのFCAとの協議は、ルノーの20年来のパートナーである日産抜きで進んできており、ルノーとFCAが投資などで提携の必要性に迫られていることを浮き彫りにしている。関係者によると、ルノーが目指している日産との経営統合の取り組みは棚上げとなっている。
関係者によると、交渉により合意の道筋が見いだせたことから、FCAとルノーの協議はここ数日で加速した。ルノー取締役会は27日午前に会合を開く。両社の担当者はコメントを控えた。
関係者らによれば、FCAはルノーが短期的に日産との取引を目指さないと同意することを協議の必要条件にしている。フィアット創業家、アニェッリ家の投資持ち株会社エクソールはフィアットの29%を所有しており、統合後の会社の筆頭株主になる見込み。
取引が前進すれば、FCA会長のジョン・エルカン氏が統合会社の会長となり、ルノーの スナール会長が最高経営責任者(CEO)に就任すると関係者らは語った。
世界の大市場での自動車販売が減少する中、各メーカーは当局から電気自動車(EV)化や排出ガス低減の圧力を受けている。また自動運転技術への大規模投資も迫られており、一方でアルファベット傘下のウェイモなどの競争相手に後れを取るリスクにも直面している。
FCAとルノーの提携は、共同で投資を行うなど欧州での広範なコスト節減につながる。FCAは利益のほとんどを北米で稼いでいるものの、昨年末時点で従業員19万8500人の約3分の1は欧州が占めていた。フランス政府が15%出資しているルノーは売上高の約半分を欧州に頼っている。
FCAとルノーの昨年の合計生産台数は約870万台。独フォルクスワーゲン(VW)とトヨタ自動車は単独で1000万台を突破、ルノーと日産、三菱のアライアンスの生産台数もほぼ同水準だった。
FCAとルノーの提携が実現すれば、FCAはルノーの北米市場へのアクセスを与える代わりに、ロシア進出の足掛かりを得る。傘下にアフトワズを抱えるルノーにとってロシアは2番目に大きい市場となっている。今年1-3月(第1四半期)はルノーの自動車販売が5.6%減の90万8348台、FCAの乗用車・ライトトラック販売は14%減の104万台。
関係者の話では、FCAは「プジョー」などのブランドを展開するグループPSAとも初期段階の協議を行った。グループPSAは電子メールで、「長期的ベースで価値創出をもたらす機会」に引き続きオープンな姿勢を取っていると説明した。(ブルームバーグ)
(2019/5/27 07:00)