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[ 科学技術・大学 ]
(2019/7/3 05:00)
エイズウイルス(HIV)に感染したマウスで、免疫細胞の染色体に組み込まれたHIVのDNAを除去する実験に成功したと、米テンプル大とネブラスカ大の研究チームが発表した。HIVの増殖を抑える抗ウイルス薬の作用が長く続くよう工夫した上で、遺伝子を効率良く改変するゲノム編集技術を使い、ウイルスDNAを「削除」したという。
HIVを除去できたマウスの割合は約3割だった。研究チームは技術を改善し、霊長類での実験を経て臨床試験を目指す。HIVに感染した場合、現在は抗ウイルス薬を長く服用し続ける必要があるが、体内からHIVを除去できれば、抜本的な治療法になる。論文は2日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
ゲノム編集によるエイズ対策をめぐっては、昨年秋、中国の研究者が受精卵のゲノム編集を行い、双子の女児を誕生させたと発表。HIVが人の免疫細胞に侵入するために利用する細胞表面のたんぱく質「CCR5」の遺伝子を壊したとされる。しかし、副作用の懸念があり、取り返しがつかないと非難され、日本でも受精卵ゲノム編集の法規制を検討することになった。
今回の米大学チームの実験は受精卵ではなく、免疫細胞という体細胞が対象。マウスの染色体や遺伝子には手を加えず、マウスの染色体に組み込まれたウイルスのDNAだけを削除することを狙った。(時事)
Researchers at @TempleMedSchool have eliminated HIV from the genomes of living animals, marking a major step toward the development of a possible cure for HIV.Read more: https://t.co/9meDJda09d pic.twitter.com/wUzbofdrin
— Temple University (@TempleUniv) 2019年7月3日
(2019/7/3 05:00)