[ ICT ]
(2019/8/30 05:00)
米フェイスブック(FB)の日本法人が2017年12月期までの2年間に、東京国税局から約5億円の申告漏れを指摘されていたことが29日、関係者への取材で分かった。日本国内の広告料がアイルランド法人に支払われており、東京国税局は低税率国に日本法人の利益を移転していたと判断した。法人税の追徴税額は過少申告加算税などを含め1億数千万円で、同社は修正申告に応じたという。
「GAFA(ガーファ)」と呼ばれるグーグル、アップル、FB、アマゾン・ドット・コムに代表される巨大IT企業をめぐっては、各国で得た利益に適正な課税ができないとして世界的な課題となっている。
関係者によると、申告漏れを指摘されたのは、FBの日本法人「フェイスブックジャパン」(東京都港区)。日本国内の広告主や広告会社はアイルランド法人と契約して広告料を支払っており、日本法人はアイルランド法人の業務を支援した対価として、経費に数パーセントを上乗せした報酬を受け取っていた。
しかし、営業活動などは日本法人が行っており、同国税局は税務調査で、日本法人の報酬は広告料に連動させるべきだと指摘。連動分を算出し、実際の報酬を上回った差額が申告漏れに当たると判断したという。
法人税の実効税率は、日本が30%前後で推移しているのに対し、アイルランドは12.5%で低税率国として知られる。米グーグルの日本法人も過去に、広告事業の利益をシンガポールに移したとして、東京国税局から約35億円の申告漏れを指摘されている。
フェイスブックジャパンは取材に、「個々の案件にはコメントできない。税務当局に対する透明性を高めるため、将来的にどのように日本での広告販売を運用・実行していくか検討している」と回答した。(時事)
(2019/8/30 05:00)