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(2021/10/18 05:00)
モーターに合う材料探し
(総合1から続く) 小さな子どもの時から飛行機など乗り物に興味があり、近所の科学館の科学教室にも通った。公立の女子高校で理系進学を目指し、大学と大学院で機械工学を専攻した。研究テーマはカーボンナノチューブ(ナノは10億分の1、CNT)と樹脂の複合材料。ヤマハ発動機はボートなどに繊維強化プラスチック(FRP)を用いており、新製品開発に生かせると思い、就職した。
2014年の入社後はアルミウニムを担当した。アルミ部品がどう使われているのかや強みを知り、中国やロシアなどにあるアルミメーカーの工場で技術監査などを行った。ヤマハ発が求める特性は他社と異なる場合があり、その特性を持つ材料を高品質で安定的、効率的に生産する工程をすり合わせた。
バイクのマフラーの熱処理変更による効率化や、足回りの鍛造部品の成分変更による機能向上などを担当した。これまでの研究成果で代表的なのが、バイクの鋳造ホイールに回転塑性加工を適用して薄肉化を図り、前後輪合わせて約700グラムを軽量化した。
強さとしなやかさという相反する特性を両立させるため、アルミ合金の成分比率や鋳造後の熱処理条件などを改良した。サンプルでは品質がよくても、量産では結晶のでき方の違いで異なり、試行錯誤を繰り返した。
現在はアルミ以外を含め、ヤマハ発が目指すモーターに適した材料開発を目指している。研究や製造の現場でもチームワークを生かしてリモートワークしやすい環境になるとよい。
休日はツーリングで夫と一緒に動物園や植物園に出かける。3、4年前に大型2輪免許を取得し、中型バイクも大型バイクも持っている。(文、写真=浜松・市川哲寛)
◇ヤマハ発動機 生産技術本部材料技術部先行開発グループ主事 大島かほり(おおしま・かほり)さん
(2021/10/18 05:00)