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(2021/11/1 05:00)
素直に教え請う姿勢大事に
(総合1から続く)同志社大学工学部(現理工学部)で有機化学を専攻していました。実は高校のころから病気や薬の分野に興味がありましたが、大学で行きたかった研究室が廃止されてしまい、よりやりたいことに近づけるよう大阪大学大学院の薬学研究科に進学しました。
三洋化成は化学メーカーですがバイオの部署もあったので、両方の知識を生かせると思い入社を決めました。実際にバイオの部署での最初の仕事が、当社の診断薬のキーマテリアルとなる物質を量産するためのスケールアップ検討だったので、早速化学の知識が役に立ちました。
私が研究する体外診断用医薬品は、体から採取した血液や尿などのサンプルを検査して病気の診断補助を行う試薬です。配属2年目で初めて一つの製品開発を任されましたが、ある性能が目標に到達できずなかなか発売できませんでした。思いつく限りのことを試しても思うように結果が出ずどん底だった時に「一緒に考えようか」と、先輩が声をかけてくれたのが本当に救いになりました。同時に、いくつになっても先輩や周りの人に素直に教えを請う姿勢が大事だと学びました。
引き受けた仕事は最後まで責任を持ってやりきるということを信条にしています。自分のネットワークを広げ、いろんな人と議論を交わして生まれた新たな視点を製品開発につなげることができれば、研究者として幸せかなと思います。今は日本でしか使われていませんが、将来的には自分たちが開発した製品を海外に出していきたいです。
宝塚歌劇が大好きで、仕事から完全に離れる時間が究極の息抜きになっています。(文=京都・新庄悠、写真=田山浩一)
◇三洋化成工業 バイオ・メディカル事業本部研究部診断薬研究グループ主任 伴野由季(ともの・ゆき)さん
(2021/11/1 05:00)