現場主導で合理化 AGVで搬送上のコストを圧縮 SMC矢祭工場【PR】

(2022/3/2 00:00)

 SMCは増え続ける需要に対応するため、生産現場の合理化を進めている。デジタル技術を使ったペーパーレス化や各種生産工程の自動化、無人搬送車(AGV)などのロボット技術の活用などが主で、現場主導型の合理化事例が多いことが特徴だ。国内に6カ所ある生産関連の事業所の一つ、矢祭工場は他の事業所に先行して2019年にAGVを導入。工場内搬送の自動化に取り組む。矢祭工場製造第8課の石井麗さんは合理化グループの一員としてAGVの活動範囲を広げる努力を続けている。

増え続ける需要に対応し合理化推進

 矢祭工場は福島県南部、茨城県との県境に近い矢祭町に立地する。1994年9月に現在の矢祭第一工場が操業した。その後、空気圧機器の需要増に応えるため2009年に矢祭第二工場を新設。チラーや空気圧機器の増産に伴い、新棟建設を繰り返している。矢祭第一工場は3棟と倉庫棟、矢祭第二工場は3棟で構成する。

 現在、矢祭第一工場では、半導体製造装置やレーザー溶接・切断機器などで使う温調機器(チラー)を生産し、矢祭第二工場ではロータリーアクチュエーターやエアチャックなどの空気圧機器を製造している。チラーは空気や液体を使い熱交換を行うことで温度を調整する装置。SMCは29の国・地域に生産拠点を持つが、矢祭工場はチラー生産の中核を担う。 

合理化グループが推進しAGVを先行導入

  • 工場内で活躍するAGV

 矢祭工場で稼働するAGVは計7台。第一工場が中心で、チラーの部品を組み付けてユニット化するサブアッシー工程などで、部品やユニット、書類などさまざま物を搬送している。1号機は豊田自動織機製のけん引力が500キログラムのタイプで、2019年11月に導入した。石井さんによると「導入前は手押し台車による搬送だった。作業負担と時間が大幅に削減できた」と話す。

 石井さんは2009年にSMC入社後、矢祭工場でマシニングセンター(MC)による金属部品の加工を担当してきた。転機となったのは2018年。矢祭工場で合理化グループを立ち上げた際、立候補してグループ入りした。当初のメンバーは10人。案件別に複数人に分かれて合理化を進めてきた。

 石井さんは別の案件に取り組んでいたが、当初製造5課が取り組んでいた運搬関連の合理化を引き継ぐ形でAGV導入に携わることになったという。

 引き継いだ際に導入する予定だったAGVは小型でけん引力が少なかった。手押し台車の代替としては力が不足していたため、再検討したところ「キャスターを列車のようにけん引する形が良い」(石井さん)との判断でけん引力500キログラムのタイプに決めた。

 AGVはフロア内の番地を指定すると動きだし、当該番地に向かう。導入に際し、苦労したのは曲がり角。「安全に曲がるよう動きを調整するのが難しかった」と石井さんは振り返る。作業者が違和感を抱かない合理的なルートの選定も難しさを伴う。また、搬送する対象により最適なキャスターが変わるため石井さん自身が「キャスターの選定から現場の人と話し合う」ようにしたという。

 AGVから手押し台車への切り替えにより、搬送時間が減少し、当初の狙い通り合理化と労働負荷の低減が実現しつつある。さらに、副次的な効果として「手押し台車では2台を一度に運ぶ人もいて1回の搬送量にばらつきがあったが、AGVでは1回の搬送量を均一にでき作業指示のための予測が立てやすい」(石井さん)。

AGVの導入拡大へ

  • 桐原秀充工場長と石井麗さん

 矢祭工場の桐原秀充工場長によると、矢祭第一工場の運搬工程の約7割は製品や部品の運搬でAGVを導入しやすい。まずは7割の部分のAGV化を目指す。矢祭第二工場も大量に運ぶ物が多く「AGV導入を検討したい」としている。将来はデジタル化の一環で、AGVと生産管理系のシステムを連携することも構想にあるという。

 並行してAGVの導入成果を他の事業所と共有することも重要だ。石井さんは現在、矢祭工場の生産の見える化や電子化に取り組んでいる。AGVについては「AGV導入に必要なスキルを持つ仲間をつくっていきたい」と、他事業所との連携にも意欲を見せる。

2022国際ロボット展『Automation 最適化宣言!!』をテーマに出展します。

https://irex.nikkan.co.jp/exhibitor?item=277

(2022/3/2 00:00)

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