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(2022/4/4 05:00)
バネの力で車を変える
(総合1から続く) 東北大学工学部に進み、自動車を軽量化するアルミニウム材料を研究しました。大学院環境科学研究科ではアプローチを変え、鉄鋼副産物の製鋼スラグ(鉱滓)を有効活用する研究に取り組みました。製鋼スラグにはリンをはじめ、有用元素が多く含まれていますが、現状ではほとんどそのまま路盤材やコンクリート用骨材などの建設資材になっています。
リンは窒素やカリウムとともに植物の成長を促す肥料の三要素です。日本は肥料の原料となるリン鉱石をほぼ全量輸入しており、製鋼スラグの有効活用はリン資源をリサイクルして、環境負荷を低減することになります。そんな研究をしていたので、就職先に鉄鋼メーカーも考えました。ただ、典型的な素材産業で男性社員ばかり目に映り、気後れしてしまったのが本当のところ。その点、ニッパツはロールモデルとなるような女性技術者もいて、不安なく社会人生活をスタートしました。
現在の部署で、開発品を評価・分析する仕事をしています。自動車用バネに限らず産業界に幅広く製品を供給し、髪の毛とそう変わらない直径約0・1ミリメートルのコイルバネを使った半導体検査用プローブ(探針)もあります。仕事を通じて自社製品への理解を深めることができました。
また1年前から、ばね生産本部と共同で自動車の電動化に伴って重くなる車体を支持する軽量・高強度バネの研究をしています。バネの開発は一番やりたかった仕事です。これまでの経験を生かして、自動車を変えていきます。
趣味は歌。大学時代はアカペラサークルで、会社でも軽音楽部に入りました。歌でオンとオフのメリハリをしっかりつけています。(文=青柳一弘、写真=高山基成)
◇ニッパツ 研究開発本部基礎技術部主任 砂子真魅(すなこ・まなみ)さん
(2022/4/4 05:00)