(2022/4/8 05:00)
現在10社程度のユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)を、2027年までに100社に増やす―。経団連が掲げる野心的な目標を達成し、世界で勝てるスタートアップの育成を促したい。岸田文雄政権が6月までに策定する、スタートアップの創出・育成に向けた5カ年計画に踏み込んだ施策を盛り込んでもらいたい。
岸田政権は自身が掲げる新しい資本主義の実現に向け、22年を「スタートアップ創出元年」と位置付ける。政権による5カ年計画の策定に先立ち、経団連は27年までに起業数を10倍に増やすほか、100社のユニコーンも誕生させる目標を示し、成長が鈍化している日本経済活性化の必要性を訴える。
スタートアップもベンチャーも広義には中小企業。この中小企業が質と規模の両面で成長できれば、賃金の上昇や女性活躍の機会などが増えるほか、技術革新も促され、経済の好循環につながることが期待できる。
22年度税制改正でも、スタートアップ育成の措置が盛り込まれている。例えば、国内の事業会社またはコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)がスタートアップの新規発行株式を一定額以上取得した場合、その株式の取得価格の25%が所得控除される制度を21年度から2年延長している。大企業との連携などを進めたい。
こうしたスタートアップの枠組みを変える施策に加え、デジタル変革(DX)や脱炭素などを促す支援策も強力に推進することで、企業成長を加速させることが期待される。
他方、スタートアップでもベンチャーでもない中小企業は、中堅企業への成長を目指したい。中小企業の中には、税制など政府の優遇措置を受けようとあえて資本金を1億円以下に抑えるなど、事業規模を拡大しない企業もある。成長を阻害する側面があったため、政府は昨夏に産業競争力強化法改正法を施行し、資本金が中小企業の範囲を超えても一定の優遇措置を受けられるようにしている。
中小企業は一段の成長を追求してほしい。
(2022/4/8 05:00)
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