- トップ
- ひと カイシャ 交差点
- 記事詳細
(2023/4/3 05:00)
「敬意と誠意」で船長目指す
(総合1から続く) 神戸大学の海事科学部(現海洋政策科学部)を卒業しました。船長となるため、気象学や電子工学、船舶工学、操船論などを学んできました。
船長を目指したのは子どものころ、噴火した伊豆諸島の三宅島を結んだフェリーを東京・竹芝で見たことがきっかけです。船がないと必要な物が届かない。輸入に頼る日本もそれは同じだと感じ、海運で操船をする人を志望しました。
入社後は液化天然ガス(LNG)船、コンテナ船、自動車船、バラ積み船に乗船してきました。船員の仕事は海上で半年勤務し、3カ月休むのが基本です。学生時代と違って現場では仕事量がすごく多く、「プロとはこういうものか」と食らいついていきました。
船の中は国籍も年齢も違う人たちが大勢です。指揮命令系統が明確な職場ですが、チームワークが大事なので、思ったことを言いやすい環境づくりに努めました。2年前には外航大型船の船長となれる1級海技士の資格を得ました。
現在は陸上職に移り、ドライバルク輸送品質グループで営業部門を技術的な観点で支えています。運転から運航する立場になり、必要な知識や見える世界が変わり、日々学ぶことばかりです。また、海上や陸上職を問わず、相手と接するときは肩書から外れ、どんな時も「敬意と誠意を」持つように心がけています。
将来はいったんは海上職に戻り、船長を経験したいですが、その後は海上や営業の現場で得た知識を会社に還元し、新しいビジネスを作るのに携われたらと思います。
陸上職に移ったのを機に鍵盤楽器を習い始めました。小さな積み重ねが楽しい。まだ披露できる腕ではないので、何の楽器かは秘密です。(文=編集委員・小川淳、写真=高山基成)
◇日本郵船 ドライバルク輸送品質グループドライバルク・マリンチーム 高橋育実(たかはし・いくみ)さん
(2023/4/3 05:00)