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(2023/7/24 05:00)
論理的な判断を心掛け
(総合1から続く)千葉大学大学院融合理工学府で修士を修了後、2020年に日本ペイントへ入社し、建築塗料を研究してきました。塗料は顔料に水や溶剤、粉体を混ぜ、塗膜として安定したカラーを長く保てるように開発します。高品質な塗料はミクロのレベルで顔料を均一に分散する表面技術も必要です。塗料のさまざまな機能を高める技術のアプローチが、開発の一番難しいところです。
初めて任されたのは抗ウイルス・抗菌塗料でした。会社に技術の知見はありましたが、競合他社も多く手がけています。どうすれば優位性を出せるか悩みました。抗ウイルス・抗菌性機能と仕上がりの外観も両立させなければなりません。抗ウイルス・抗菌製品は開発のスピード感も重要です。マーケティング部門と相談し顧客からもニーズを直接聞き、製品化できた経験は大きな自信になりました。
開発で問題が生じると原因の仮説を立て実験し、うまく解決するとやりがいを感じます。論理的に考え根拠に基づき判断するよう努めています。感性的なタイプなので、こうした思考は得意でありませんでした。しかし実験するにしても説明するにしても、論理的でないと納得してもらえません。「なぜこのように思うのか」としっかり言えるような技術者になりたいです。
日本ペイントは多様性のあるダイバーシティー採用や男性の育児休暇取得、介護休暇などが進んでいます。色彩技術グループは9人で、うち女性は後輩と2人です。出産後も復職する女性が多く、ずっと働きたいと願っています。季節ごとに咲く花が好きでオフにはミラーレス一眼カメラを携え、自然などの風景を撮影に出かけます。仕事柄カラーについて撮影中もあれこれと考えることがあり、仕事と趣味の双方に生きていると感じます。(文=田井茂、写真=田山浩一)
◇日本ペイント 技術統括本部 技術管理部 色彩技術グループ 小白琴菜(こはく・ことな)さん
(2023/7/24 05:00)