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(2023/10/10 18:00)
フェローテックホールディングス(HD)は半導体製造装置向け部品や半導体ウエハーなどを製造販売している。同社は欧米で培った開発技術を製品に落とし込み、中国で得た大量生産体制のノウハウで独自のビジネスモデルを確立。半導体前工程向けのサプライヤーとして確固たる地位を築いている。最近では地政学リスクから日本やマレーシアといった拠点での設備投資も積極的に行うほか、次世代製品の開発も加速している。あらゆるプロジェクトが同時進行している同HD。賀賢漢社長兼グループCEO(最高経営責任者)に会社の強みや今後のビジョンを聞いた。
―フェローテックHDが手がける光通信向けサーモモジュール製品のシェアが36%と世界1位になったそうですね。
「サーモモジュールは1992年から事業が始まっていて、材料関係を開発してきた。約10年前には海外のサーモモジュール会社を買収してその後材料の開発が大いに進んだ。同モジュールは光通信関係やビッグデータセンター内、自動運転システムによく使われている。最近はChat GPTといった生成AI(人工知能)のところで我々のシェアは圧倒的に強い。世界トップ5のメーカーには大体納めている。同モジュールを使う光トランシーバーの市場は中国市場を中心に100ギガバイト(GB)、200GB、400GB、800GBがあって、24年にかけては次世代で開発中の1・6テラバイト製品が出てくる。その時には当社のシェアはもっと高くなる」
―なぜですか。
「当社の製品の特徴はモジュール温度の安定性がすこぶるよいことと、長寿命であることだ。モジュールの温度測定が少しでもぶれると大変なことになるので、かなり抵抗値関係をはじめ技術的なところがすごく求められている。現在は民生機器向けや電機製品に関してシェアは高いが、当社としてはもっと特殊なところを開拓してシェアをどんどん大きくしていきたい」
―製品開発は取引先と二人三脚で取り組みます。
「取引先とディスカッションしながら要望をよく分かった上で製品開発している。取引先の方でどういう要望があるのかや、なぜこんなにスピードを上げるのか、モジュールの役割は何があるのかなどを聞いている」
―22年に発売したサーモモジュールを搭載した冷却チラー(恒温水循環装置)も引き合いが多いそうですね。
「多数の会社から問い合わせが来ている。チラーは半導体分野以外にも、レーザーや工作機械、医療機器などあらゆる分野で使われている。各分野でチラーは期待できる」
―米中の貿易摩擦の点で半導体をめぐる地政学リスクが浮上しています。そこで同HDではマレーシアや日本での投資を積極化しています。マレーシアで投資する狙いは。
「当社事業に密接な半導体製造装置の投資は、半導体メーカーが名を連ねる中国・韓国・台湾が3大市場であることに変化はなく、これらの市場成長に対し、主に中国国内に保有する多くの生産拠点で生産能力の増強に取り組んでいる。ただ、東南アジア市場の半導体関連需要拡大で取引先に望まれているのは地産地消。そのためマレーシア北部に大規模な半導体関連製品・サービスの生産拠点を新設するほか、マレーシア南部にもパワー半導体絶縁基板の生産拠点を新設する。24年中にはいずれも本格的な量産を始め、東南アジアに生産拠点がある米系の有力な半導体製造装置メーカー、欧米や日本の半導体メーカーなどの需要拡大に対応する」
―日本でも投資をさらに進めます。
「日本ではシリコンアイランドになっている九州での半導体関連メーカーの投資拡大が顕著になっている。そして日本国内の多くの顧客が国内のサプライヤーからの部材調達を望む傾向が強くなっている。この国内での需要増のボリュームと成長の持続性を考慮し、これまで以上に積極的に国内での投資を行う。日系企業として日本の半導体産業への貢献度を高め、そのことが同HDの企業価値向上につながると判断した」
―具体的には。
「半導体製造装置向け部材のセラミックスの増産を図るため、石川県に工場を竣工。さらに隣接する自治体に第三工場を24年中に竣工を予定する。シリコンアイランドの中心となる熊本県には半導体製造装置向け部材の石英や装置部品洗浄の新拠点を同年中に竣工を予定する。またM&Aも加速させており、工業用刃物の東洋刃物と、サーミスタ・温度センサーの大泉製作所を相次いで連結子会社に追加した」
―人材の確保についてはどう考えていますか。
「人材は足りていないので、工場の立上げも含め、中国の拠点からも従業員を連れてくる。さらに日本での経験者や新卒の採用に力を入れていく。昔は中国の方が人件費は安かったが、今は日本の方が安くなりつつある。そこで日本で高額なインセンティブで人を雇って、例えば30代で部長クラスとして仕事にあたってもらい、40代でフェローテックHD子会社社長として辣腕を振るってもらえる仕組みを会社として検討していきたい。」
―今期(24年3月期)グループ全体で売上高2200億円を見込んでいます。
「現在半導体市場は調整局面に入っていてセラミックスや真空チャンバー関係は引き合いが弱いと感じているが、当社は多品種のモノを手がけている。半導体向けパワーデバイス絶縁基板やシリコンパーツ、石英るつぼはかなり忙しい。そのため全体として考えると今期の目標はリーズナブルだ。現時点での来期の2700億円、その次の3600億円はチャレンジングな目標になる。これらの目標を達成するには、今よりももっと力を入れないといけない。だが半導体需要はおそらく徐々に回復してくると考えられるため、その追い風を味方に目標をクリアしていきたい」
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(2023/10/10 18:00)