(2024/4/10 12:00)
多言語端末で作業確認
二ノ宮製作所(埼玉県皆野町、二ノ宮紀子社長)は、半導体製造装置や計測機器など精密金属筐体(きょうたい)の専門メーカーだ。板金技術を軸に溶接や塗装、組み立てなどを一貫して手がけている。塗装工場やレーザー加工機への投資とともに力を入れているのが人材戦略だ。中でもフィリピンの理工系大学と連携し、インターンシップ(就業体験)生を受け入れている。ダイバーシティー(多様性)推進を競争力に結び付けている。
「宗教や国籍を超え、障がいがある人でも働けるのが当社のダイバーシティー」と二ノ宮社長は強調する。二ノ宮製作所は1990年代から障がい者雇用に取り組み、特別支援学校や支援センターとの関係を築いてきた。二ノ宮社長は「その人の特性に合う業務を見つけることが必要」という。
多様な人材を生かす中で、外国籍人材の活用に積極的だ。2015年にフィリピンの理工系大学であるマプア大学、サンホセレコレトス大学と協定を結び、インターンシップ生の受け入れを開始。毎年10人程度を受け入れている。フィリピンやインドネシア、ミャンマー、ベトナムの4カ国の特定技能・技能実習生が働き、約80人の全社員のうち外国籍の人材は30人を超す。
ポイントは「外国籍人材が安心・安全に働け、能力を発揮できる職場づくり」(堀安吉城専務)だ。作業内容や留意点を口伝えではなく「作業ベーシック」として明確に規定。担当指導員が付きサポートするほか、多言語対応のタブレット端末で作業の勘やこつを動画で確認できる。工場内に礼拝や洗足ができるスペースを設け、ヤシの木のあるカフェテリアを整備するなど環境改善に努めている。
業務はもちろん日常生活の支援として、日本語教育や生活文化研修、朝礼時間に日本語での発表や交流イベントの開催などモチベーションを高める仕組みづくりにも心を砕く。二ノ宮社長は「『3カ月で一人前、3年でベテラン』が目標。価値観はさまざま、それらを認めながらもベクトルを合わせることが重要」と力説する。二ノ宮社長自らも日本語教師の資格を取得した。
今後も外国籍人材を約10人増員する予定だ。インターンシップ生も欧米などを含め他地域・他大学からの受け入れを検討する。二ノ宮社長は「インターンシップが就職ありきとは考えていない。成長してもらうことが大事で、力を伸ばすことが当社の力にもなる。日本に、そして当社に再び来たいと思ってもらいたい」としている。
(2024/4/10 12:00)
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