(2024/7/15 05:00)
中国共産党は15―18日の日程で、党の重要会議「第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)」を北京市内で開く。不動産不況や少子高齢化などの課題に対し、効果的な中長期の経済政策を打ち出せるかが焦点になる。中国政府が5月に講じた不動産対策は効果が限定的で、今回の会議で踏み込めなければ内需の停滞が長引きかねない。世界と日本経済に影響が及ぶ中国経済の先行きには警戒したい。
今回の会議では、中国独自の発展モデル「中国式現代化」などを議論する。先端技術の振興や不動産対策、個人消費などの内需喚起、民間企業の活性化などの課題にどう向き合うか注視したい。中でも不動産不況を起点とした内需停滞が懸念され、抜本的な対策が待たれる。
中国の不動産不況が深刻化している。中国国家統計局の調査によると、1―5月累計の不動産開発投資は前年同期比10・1%減と大幅に減少。5月の新築住宅価格指数は主要70都市のうち68都市が前月より下落した。中国政府が講じた不動産対策も効果は限られているようだ。
中国人民銀行は住宅ローン金利の下限撤廃を、中国政府は各地で売れ残った住宅を地方政府に買い取らせ、安価で販売する対策をそれぞれ5月に講じている。国際通貨基金(IMF)は同月、この対策も考慮し、中国の2024年の実質成長率予測を5%と、4月時点の4・6%から上方修正していた。だが不動産不況は底を打たず、追加の不動産対策が求められる。
在庫住宅の購入者への支援をさらに手厚くする必要がある。支払いが済んだものの完成していない未完成住宅への抜本的な対策も急がなければならない。
中国の1―6月の消費者物価指数は前年同期比で0・1%の上昇にとどまる。不動産不況を発端とする内需の停滞による。党の統制強化により縮小した民間企業の活力を引き出し、「国進民退」の路線を緩和したい。
他方、党が今会議で先端技術の振興を強く打ち出せば、過剰生産につながりかねない。米欧との貿易摩擦がさらに激化する可能性も留意する必要がある。
(2024/7/15 05:00)
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