社説/災害に備える㊤「台風10号」遠隔も被災、警戒を

(2024/8/30 05:00)

非常に強い台風10号に警戒したい。ゆっくりとした速度で九州を北上し、その進路の予想は大きく変わりやすいという。台風から離れた愛知県でも土砂崩れに見舞われており、台風の進路によらず警戒を強める必要がある。九州では29日、鉄道や物流、生産拠点に影響が及び、列島のほぼ全域で警報・注意報が出された。自治体やメディアなどが発信する情報を基に安全第一で行動し、被害を最小限にとどめることが求められる。

台風10号は29日朝、鹿児島県に上陸。気象庁は上陸に先立つ28日には同県に伊勢湾台風(1959年)クラスの特別警報を発令していたが、29日には警報・注意報に切り替えた。だが10号の影響は愛知県など広範に及び、その歩みは遅く、勢力が強い。西日本では30日にかけて、同一地域で集中豪雨が続く線状降水帯の発生が懸念される。

29日は山陽新幹線などが一部列車の運転を変更し、九州新幹線は終日運転を見合わせた。東海道新幹線は30日から9月1日にかけ、全線または一部区間で計画運休や運転見合わせの可能性があるという。日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)は300便以上が欠航し、九州の物流や自動車・精密機械などの生産にも影響が出た。災害の影響が最小限にとどまり、早期に通常業務に戻ると願いたい。

台風から離れた地域でも「遠隔豪雨」となる可能性が指摘されている。台風10号は9月3日に三陸沖に到達するとの予測もあるが、進路を見通せず、当面は警戒を続ける必要がある。

他方、交流サイト(SNS)などを通じたデマの拡散は地域を混乱させる。厳に慎みたい。

2024年は元日に能登半島地震が発生し、8月8日には宮崎県日南市で最大震度6弱を観測した。気象庁は日南市の地震を受け、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表するなど、日本は自然災害のリスクを突き付けられている。関東大震災が発生した9月1日は「防災の日」でもある。政府による国土強靱(きょうじん)化はもとより、企業や家庭はでき得る対策を一つひとつ積み重ねたい。

(2024/8/30 05:00)

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