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(2024/9/2 05:00)
分子レベルで素材解析
(総合1から続く)「化学は世界が広がる」と、高校時代に通った塾の先生が化学の面白さに気付かせてくれました。九州工業大学応用化学科で有機薄膜太陽電池を研究し、卒業後、地元のダイキョーニシカワに入社しました。自動車は生活必需品。開発成果が形として世の中に役立っていることが分かるのが部品メーカーに勤める魅力です。
1年間の工場研修を経てR&D部門に配属されました。ちょうどバックドアの樹脂化に挑戦していたところ、強度や温度など既存の樹脂材料では機能を満たすことが難しく、材料そのものの研究が必須で、最も若手だった私が京都工芸繊維大学の大学院に派遣されました。アカデミックのアプローチを身に付けることができ、視点や考えが広がりました。
かつて素材メーカーがブラックボックスとしてきた領域ですが、新しいモノづくりに取り組む部品メーカーにとって、材料の知見は欠かせません。今は素材を分子レベルで解析して、狙った機能を出すためには、どのようにして相反する機能を制御できるか、モデルベースリサーチ(MBR)を研究しています。
MBRの研究を加速するため、会社に志願して広島大学の大学院博士課程でも学んでいます。素材を知り、共通言語としてMBRを活用することで、樹脂や樹脂部品の可能性は広がり、その先には、自動車部品とはまた違う新規事業を見いだせるかもしれません。素材メーカーも巻き込んで共創関係を築き、皆で良いモノを作っていくというのが理想です。
3歳と6歳の男の子がいます。上の子は野菜を育てる、パンを作る、街を描くなど、好奇心旺盛で「やりたいこと」があふれています。その気持ちを大切にしたい。週末は子どもの「やりたいこと」に付き合っています。(文・写真=広島総局・小林広幸)
◇ダイキョーニシカワ R&D本部R&D統括部 MBR推進グループ 望月有紀(もちづき・ゆき)さん
(2024/9/2 05:00)