(2024/12/17 05:00)
日銀による利上げ時期が注目されている。市場では18、19の両日に開く会合で利上げは見送られ、2025年1月に実施されるとの見方が多い。米国経済や25年春季労使交渉(春闘)に不透明感があり、直ちに利上げを決めないとの見立てだ。「就任初日は独裁者になる」というトランプ米次期大統領による初日の大統領令や、春闘で高水準の賃上げ「定着」を見通せるかを日銀は慎重に見極めたい。
日本経済は緩やかな成長を続け、物価上昇率も日銀想定と乖離(かいり)せず2%台で推移している。政策金利は0・25%の超低金利であり、利上げが経済に与える影響も限られる。日銀がいつ利上げしても不思議でないが、12月より25年1月の方がより詳細な経済指標を確認できるのも事実。日銀は為替動向も含め、経済情勢を適切に判断したい。
トランプ氏が25年1月20日に米大統領に就任する。気がかりなのは、就任初日に議会承認が不要な大統領令が乱発されるかどうかだ。追加関税は物価高と貿易摩擦を誘発し、違法移民の大量送還は米国の人件費を押し上げる要因になる。米国や世界経済の先行きに不透明感が強まれば、日銀は利上げしにくい。
一方、トランプ政権の景気刺激的な財政運営は米長期金利を上昇させ、円安・ドル高が進む可能性があり、日銀は利上げしやすい環境になる。トランプ氏の言動や政策の行方、さらに為替の動向には留意が必要だ。
25年春闘で、連合は賃上げ率5%以上(ベースアップ3%以上)を掲げ、高水準の賃上げの定着を目指す。金属労協が連合を上回るベア約4%相当の要求方針を固めるなど、期待が高まる。日銀による12月の企業短期経済観測調査(短観)も、大企業・製造業の景況感が2四半期ぶりに改善した。ただ中国経済への懸念や中東の地政学リスクも一方でくすぶる。人手不足を背景とした意欲的な賃上げが見通せるか見極める必要がある。
実質賃金はいまだにプラス転換が定着していない。物価と賃金の好循環が回り始め、日銀の金融政策正常化が後押しされるのか、25年に正念場を迎える。
(2024/12/17 05:00)
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