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マーケティング業界を牽引する音部大輔氏 登壇『なぜ強いマーケティング組織はデータ・ドリブンを志向するのか』データによって成されるマーケティングの最適化について議論

(2018/4/16)

カテゴリ:イベント

リリース発行企業:株式会社PTP

マーケティング業界を牽引する音部大輔氏 登壇『なぜ強いマーケティング組織はデータ・ドリブンを志向するのか』データによって成されるマーケティングの最適化について議論

2018年3月29日(木)にリリースされた全国CMデータベースの新サービス「Madison」を提供開始する株式会社PTP(本社:東京都新宿区 / 代表取締役社長:有吉昌康)は、4月10日(火)にメディアの方を対象とした、変動するマーケティング業界の今後について議論するセミナー『なぜ強いマーケティング組織はデータ・ドリブンを志向するのか』を開催いたしました。



<開催概要>
・タイトル:『なぜ強いマーケティング組織はデータ・ドリブンを志向するのか』
・会 場 :フクラシア八重洲 J会議室(東京都中央区八重洲2-4-1 ユニゾ八重洲ビル(常和八重洲ビル)3F)
・日 程 :2018年4月10日(火)   
・主 催:株式会社PTP

<登壇者略歴> ※登壇順

音部 大輔氏(株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役)
大学卒業後、P&Gジャパンのマーケティング本部に入社。17年間の在籍中アリエール、ファブリーズ、アテント、パンパースなどのブランドマネジメントを経て、US本社でイノベーション開発方法についてのプロジェクトをマーケティングサイドから主導。帰国後、ダノン・ジャパン、ユニリーバ・ジャパン、日産自動車、資生堂などさまざまな文化背景、製品分野の企業でマーケティング組織を指揮・育成。2018年より現職。2016年、CNET JapanのCMO Awardを資生堂ジャパンCMOとして受賞。博士(経営学 神戸大学)。



有吉 昌康氏(株式会社PTP 代表取締役社長)
株式会社野村総合研究所に入社。マーケティングを専門にコンサルティング業務に従事。2000年に同社を退職し、株式会社パワー・トゥ・ザ・ピープル(現 株式会社PTP)を創業。2006年に日本初の全録型HDDレコーダー SPIDERを販売開始。日本、米国、韓国、中国等で多数の特許を取得。2012年「日経チェンジメーカー2011」経営者部門にノミネートされた。一橋大学商学部卒、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒。

徳力 基彦氏(アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役CMO ブロガー)NTTやIT系コンサルティングファーム等を経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。「アンバサダーを重視するアプローチ」をキーワードに、ソーシャルメディアの企業活用についての啓蒙活動を担当。2009年2月に代表取締役社長に就任し、2014年3月より現職。なお、個人でも、電通総研フェローやWOMマーケティング協議会の事例共有委員会委員長、政府広報アドバイザーなどを務め、Yahooニュース個人や日経MJ、宣伝会議advertimesのコラム連載等、幅広い活動を行っている。著書に「顧客視点の企業戦略」、「アルファブロガー」等がある。

<講演内容>
1.基調講演 音部大輔氏による『強いマーケティング組織がデータ・ドリブンを志向する理由』
マーケティング組織強化のために重要なのは、ナレッジマネジメントとデータドリブンな議論


基調講演においては、株式会社クー・マーケティング・カンパニー 代表取締役の音部大輔氏から、日本のマーケティング組織の強化・成長の必須要素や、PDCAサイクルを正しく回すにはどのような計測が必要なのかなどについてお話しいただきました。

◆マーケティング組織の強化・成長
音部氏によると『成長』とは、会社の人数や業務範囲が増えることによる“規模の拡大”だけではなく、昨日できなったことができるようになるといった“知識の蓄積”であるとのこと。マーケティング組織が成長するにあたって、いかに個人の“知識の蓄積”を行い、組織への流通を体現させるかがキーポイント、と述べました。すなわち、1人の経験や知識を10人で使うナレッジマネジメントが企業の成長に必要不可欠だということです。また、企業の中で“戦略”や“ブランド”、“マーケティング”といった言葉の意味が明確に定義付けされていない場合、それぞれの価値観で解釈をしてしまい、齟齬が生まれやすくなります。ナレッジマネジメントを体現するにあたって、明確に定義づけされた”共通言語”を確立することが非常に重要です。

◆持続的に知識を獲得し続ける仕組みづくり
ナレッジマネジメントを体現するためには、素地として、持続的に知識を獲得し続ける仕組みづくりも必要だともいいます。

いまの日本企業ではPDCAサイクルのC(チェック)を怠る企業が多い傾向にありますが、チェック(ビジネスレビュー)をしないことで同じ失敗を繰り返したり、成功した場合の再現性がなくなってしまいます。しかしビジネスレビューから修正計画までのプロセスを共通化することによって、そこから得られる知識も共有化できるのです。今後、企業のマーケティング担当者にはこういった仕組みづくりが求められるでしょう。

◆思考プロセスの共通化のために
一連のプロセスが確立しナレッジマネジメントが成功すると、知識に基づいた意思決定が可能になりますが、そのプロセスの中で重要なのが“データに基づいた議論”です。これは今に始まった話ではありませんが、手に入るデータの量・質がここ10年で劇的に増加したため、『データドリブンマーケティング』の導入は企業の客観的事実に基づいた意思決定を大きく左右することになるでしょう。

2.有吉昌康氏による「日本初 テレビCMの効果測定を全国で可能にする”Madison”」
テレビCMのエリアごとの効果測定や他社動向の把握、リードタイム短縮によりデジタルとの統合が可能に。


株式会社PTP代表取締役社長 有吉昌康氏は、日本初の全国CMデータ構築でエリア別の効果測定や他社動向の把握を可能にする「Madison」の詳細を事例を交えて講演しました。

◆Madisonが受け入れられる背景について
デジタル・マーケティングの普及により、企業のデータドリブンな意思決定の重要性が増し、また、東京と地方での生活スタイルの違いから両者で異なるマーケティング戦略の重要性も増しています。さらに、デジタル・マーケティングの諸問題が露呈したことによりテレビへの回帰とデジタルとの連携を含むマーケティング最適化が求められるようになりました。ですが東名阪しかCMデータしか存在せず“東京と地方”など異なるエリアの消費者行動にあわせた施策ができないことがこれまでの課題だったといいます。

そこで、日本発の全国のCMデータベースを構築したサービスがMadisonです。このサービスは、CMのエリア別効果測定を可能にし、エリアごとの他社動向の把握と競合対策の実施をサポートします。また、テレビCMの放送実績が最短翌日に把握できることでデジタル施策と連携したPDCAサイクルの実現にも大きく貢献することが期待されます。

◆Madisonでマーケティングが変わる
Madisonの導入は企業のマーケティングにおいて高レベルの効果測定を可能にし、データドリブンな組織へ変貌させます。この変化が企業を成長に導くことは、音部氏の基調講演でも述べられました。またデータをリアルタイムで共有できるため、異なる施策の連携や本社と営業現場の意思疎通の強化も期待できます。部署が全国各所に点在する大手企業のマーケティング活動にも大きな変化をもたらすことでしょう。

◆Madisonの活用事例
Madisonを実際に導入した日産自動車の事例では、車種ごとのエリアマーケティングにMadisonを活用。

過去には明確に把握することのできなかったエリアごとのCM投入の時間帯別のボリュームやエリア別のSOV(広告投入量シェア)を正確に知ることで、計画的な出稿計画に結実。出稿後も、CM投入実績と紐づいた販売実績をレビューし、高精度な効果測定を行うことができるようになりました。
PDCAサイクルのPLAN(データに基づく計画立案)とCHECK(データを把握した効果測定)においてより精緻なデータを得ることで、如実にデータドリブンマーケティングを加速させた好例といえます。

3. パネルディスカッション
最後のパネルディスカッションでは、徳力基彦氏(アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役 CMO:画像右)をモデレーターに迎え、音部氏(画像中央)と有吉氏(画像左)とで「マーケティング最適化の実現に必要なこと」、「マスとデジタルの好循環を生むデータドリブンな新しいマーケティングの在り方」、「Madisonがマーケターに与えるインパクト」についての議論で盛り上がりました。


1.Madisonがマーケターに与えるインパクトとは
―いままで可視化されていなかったことが判断材料として手に入ることで、より高度なコミュニケーション・ブランディング戦略を企画することができるようになるー

はじめに徳力氏は、実際にマーケターの立場から、地域ごとに視聴率データが計測できることや、ライバルの動向が可視化できることが、実際にどれくらいのインパクトがあるのかとの疑問を投げかけました。

音部氏いわく、メディアバイイングやブランディング部門の人たちからすると、簡潔に“見えなかったものが見えるようになる”ことは画期的。そこそこ腕のあるマーケティング担当者であれば、ライバルの出稿量やクリエイティブとの差別化をはかることにも活用できるでしょうし、ありがたいツールになります。

またブランドマネージャーの観点からすると、例えば人気女優が複数のブランドのCMに出演しているとして、セレブリティ競合が発生するものですが、A、B、Cという商材やベネフィットの垣根を超えたブランドCMに出演していること、それぞれのCMの投下ボリュームを可視化することで、実は自社のCMが自社ブランドのPRのためではなく、その女優の露出としか視聴者には受け入れてもらえていないということがわかったりもします。

2.プロバイダーの立場からみるMadisonを活用するべきターゲットとは
―企業のなかで論理的な根拠に基づいて意思決定し、データを重視して提案に生かすといった能力のある人に率先して活用してほしい―

徳力氏はテレビCMの視聴率の可視化というコンセプトを持つMadisonが今後ターゲットとしていく顧客とは、広告関係者のうちどのセクションになるのかという疑問を呈しました。


これに対して、有吉氏はMadisonのターゲット顧客として見込んでいるのは、企業宣伝部担当者はもちろん、マーケティング担当部署や、販売などを直接担う営業部署などの販売組織も含まれると答えました。

実際に前述の日産自動車の導入事例では、まず最初はデータサイエンス部が導入し、そこから50人のマーケティング部隊に拡大し、それが今や全国の営業部隊に広がろうとしているとのこと。これは有吉氏がMadisonで抽出できるデータの最適な活用がなされれば必ず起こると予想していた展開でもあるそうです。

つぎに徳力氏が議題に挙げたのは、Madisonなどで得られる広告効果測定の結果を、全社共通のKPIをもって俯瞰的に分析する立場を誰が担うべきかという問題です。

これに対して音部氏は、ツールを使ってどう振り返りをすべきかを設定するのはブランドマネージャーが一般的でもある反面、論理的な根拠に基づいた意思決定ができ、データを提案に活かす能力のある人物であれば、制度にかかわらず、役割を担うのに適していると話しました。

3.データによって成されるマーケティングの最適化とは
―デジタルとテレビ(マス)の連携が進み広告主のマーケティングは最適化される―

有吉氏は、Madisonの導入によって、前からデジタル分野で当たり前に行われていたテストマーケティングがマス(テレビ)でもできることで、デジタルとテレビの精緻な連携につながるといいます。

いまマーケティング担当者に求められるのは、マスでの施策に消極的になることではなく、より最適化したデータを俯瞰して見る力といえるでしょう。

4.共通言語とPDCAについて
―「データ」という共通言語が組織のPDCAサイクルを向上させるー

デジタルマーケティングが普及するにつれ、デジタル広告は数字での効果測定がしやすく、マス広告はデータがとれないということが共通認識となってしまいました。しかしMadisonというツールの誕生で、マス広告の測定も可能になります。

有吉氏は、データはただの計測結果にとどまらず、組織を脈々と流れる共通言語にもなり得るため、かかわる部署や施策のぞれぞれが活性化する点でも価値があるとコメント。共通言語があることでPDCAの最適化を図ることができるようになり、この共通言語であるデータを進化させることが、ひいては企業の進化、価値向上に寄与するといいます。

5.将来展望について
―データは人間の行動を計測するもの、データと向き合い消費者に還元するマーケターが増えてほしいー

最後に音部氏は、データを活用するうえでは、きちんと仮説を立て、検証し、仮設を修正し、といった手順が大切であると改めて述べました。“計測”や“データ”という言葉は、ときに冷たい印象を与えがちな言葉ではありますが、実はここで言う“データ”や“計測”は、“購買欲”や、“実際に購買したか否か”という、つまるところ、人間行動を意味する、生温かい血の流れているもの。 “人間についての話を我々は計測しているのだ”ということが理解されて、様々な「データドリブンを志向する」マーケティング組織が成長していくことを期待すると話しました。

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