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[ 科学技術・大学 ]
(2016/7/5 05:00)
東京工業大学地球生命研究所の玄田英典(げんだ・ひでのり)特任准教授や神戸大学の兵頭龍樹(りゅうき)大学院生らは、火星の二つの衛星である「フォボス」と「ディモス」の形成過程を解明した。約40億年前に火星の直径の3分の1程度の巨大天体が火星に衝突。飛び散った破片が集まって最終的に二つの衛星を形成することを、スーパーコンピューターによる模擬実験で明らかにした。
また両衛星は火星由来の物質を多く含む可能性も明らかにした。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は火星衛星に探査機を送り、物質を地球に持ち帰る「火星衛星サンプルリターン計画」の2020年代の実施を目指している。両衛星の試料を持ち帰ることができれば、結果的に火星の物質を解析できる。
火星の北半球には天体衝突によるクレーターが存在する。条件を変えて火星ともう一つの天体の衝突を仮定し、シミュレーションを行った。
その結果、約40億年前に火星の質量の3%の天体が毎秒6キロメートルの速度で火星にぶつかり、その破片が火星の周辺にばらまかれ円盤を形成。フォボスの質量の1000倍の巨大衛星や、フォボスとディモスが作られた。その後、巨大衛星は火星に落下し、現在の二つの衛星が残るという結果になった。
フォボスとディモスは直径数十キロメートルの大きさで火星の質量の1000万分の1程度。両衛星は火星の赤道面を回っている。ベルギー王立天文台、仏パリ地球物理研究所、仏レンヌ第1大学などとの共同研究。
成果は5日、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に掲載される。
(2016/7/5 05:00)
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