[ 機械 ]
(2016/10/27 05:00)
IHIは海流でタービンを回して電気をつくる海流発電システムを開発した。2017年秋に鹿児島県で発電の実証実験を行う計画で、横浜工場(横浜市磯子区)で実験機の製作を始めた。年間を通して速さや向きの変動が少ない海流は、再生可能エネルギーの中でも安定的な発電電力量が期待できる。実験の投資規模は数十億円。実験で知見や課題を収集・分析し、20年代の実用化を目指す。
実証はIHI、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、東京大学、三井物産戦略研究所が参画。時速3―4ノットの黒潮が流れる鹿児島県口之島付近で行う。
実験機は海底から伸ばしたケーブルを、カプセル型の浮体にタービン翼をつけた発電機につなぐ。浮体内部に発電機や浮力調整装置などを設置する。海中で発電機を凧(たこ)のように浮遊させて運用する。
システム構成は発電量50キロワットの発電機2基を1対とする双発式。タービン直径は約10メートルで、浮体の全長は約20メートル。実用機は同2000キロワット(1000キロワット2基)、タービン直径は40メートルを想定。1キロワット時の発電コスト20円を目指す。
横浜工場の機械加工スペースで浮体を製作し、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)は外注。装置は横浜工場で組み立て、17年4月に完成する。
海流発電は再生可能エネの中でも、設備稼働率(発電できる時間)が高い。稼働率は太陽光発電で10―15%、風力発電で20―30%。海流発電は60―70%と言われ、安定稼働が期待できる。
IHIは11年度から同システムの研究開発に着手した。これまで浮体の一部を模擬した試作品で、耐圧・水密性を確認する海中実験などを実施。発電までを含めた海中での実験に初めて乗り出す。
(2016/10/27 05:00)