[ オピニオン ]
(2016/11/11 05:00)
毎月末の金曜日限定で消費を喚起する「プレミアムフライデー」が、2017年2月に始まる。企業は従業員に定時前の退社を促し、買い物や外食、趣味の時間に充てることを推奨。働き方改革につなげる狙いもある。政府は並行して国民の将来不安の解消に務め、消費拡大を実現してもらいたい。
「プレミアムフライデー」は経団連などが立案し、政府と協力して実施する。経団連は当初、「ブラックフライデー(黒字の金曜日)」と呼ばれる米国の流通イベントの日本版を検討してきた。ただセール後には売り上げの落ち込み懸念がある。
そこで消費者に豊かさを実感してもらうための“プチ贅沢(ぜいたく)“コト消費”を訴求する戦略に転換。これを、従来よりワンランク上の消費を促すイベントとして定着させる意向だ。
日本経済の回復は、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費がカギを握る。官民が一体感を持って消費喚起に取り組むことには意義がある。だが日本経済を覆うデフレマインドは根深く、かけ声だけでは払拭(ふっしょく)できない。
セールの主役と目される流通業界も、必ずしも「プレミアムフライデー」を手放しで歓迎しているわけではない。所得が増えない中での効果を疑問視する声や、サービス業従事者の負担増への懸念もある。9月の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同2・1%減と7カ月連続の減少。可処分所得の伸び悩みが響いている。
消費増を促す賃金改定では、経営側は苦しい立場に置かれそうだ。17年の春季労使交渉に向け、政府は産業界への賃上げ要請を再び強める姿勢。だが企業収益は陰りをみせており「ここ3年とは異なる状況の中で、どんなスタンスを示すべきか」(経団連)と頭を悩ませる。
消費の伸び悩みの背景には、将来の生活不安や、社会保険の負担増がある。政府に求められるのは、財政再建と社会保障の持続性確保という改革の“本丸”に力を注ぐことだ。その姿勢がなければ、どんな仕掛けも消費者の心に響かない。
(2016/11/11 05:00)
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