[ 政治・経済 ]
(2016/11/12 08:30)
(ブルームバーグ)日本からインドへの原発輸出を可能にする「原子力協定」を両政府が11日、締結した。 安倍晋三首相と訪日中のモディ首相との会談後、官邸で署名式が行われた。日本が核拡散防止条約(NPT)未加盟国と同協定を結ぶのは初めて。
日本政府の発表によると、協定は日印両国の平和的な原子力協力を実現するための法的な枠組みを定めたもので、核物質を平和目的に限って利用することなどを規定している。核実験を実施した場合は、署名による通知後1年後に協力は停止されるが、この取り決めは協定には直接盛り込まれず、別文書で締結する形を取った。
安倍首相は共同記者発表で、協定への署名について「大変喜ばしい」と述べた。その上で協定は「インドを核不拡散体制に実質的に参加させることになる」として、唯一の被爆国としての「わが国の立場に合致する」と述べた。モディ首相は、両国のパートナーシップは地域にバランスをもたらす、と語った。
インドは人口増加に伴い、安定した電源を確保するため原子力エネルギーの活用を推進しており、日本外務省によると日本との協定に先立ち、米国やフランス、韓国など8カ国と原子力協定を締結している。日印の 経済界は原子力協定を前提とした原発プラント建設などの面で協力に取り組むよう求めていた。
民進党の初鹿明博衆院議員は8日の取材で、東京電力福島第一原子力発電所事故を起こした日本が原発を輸出することは「自重すべきだ」と指摘。パキスタンとの関係が緊張しているインドには「軍事転用のリスク」があると述べた。広島市立大学広島平和研究所の水本和実副所長は、NPTの枠の外でプルトニウムの製造を認めることは、「表向きは平和利用でも、兵器利用の余地が残る」と話している。
(2016/11/12 08:30)