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[ 科学技術・大学 ]
(2016/11/22 05:00)
住友化学の中長期的なテーマを扱うコーポレート研究所として、新事業創出の役割を担う先端材料開発研究所。有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)や薄膜太陽電池など具体的テーマとともに、同社の高分子材料開発を支える構造解析やコンピューターシミュレーションも手がける。
ただ、こうした基盤的な材料開発の研究手法も変化を迫られている。分子構造や電気特性など各種のデータを基に、人工知能(AI)も活用して新物質・材料を探し出すマテリアルズインフォマティクス(MI)が登場したためだ。
材料の機能発現にはどのような分子構造が重要か。それをどのように合理的に製造するか。材料加工のしやすさをどう導くのか―。従来はこれらを研究者が知識や経験によって探っていた。しかし同研究所の織田佳明所長は、「人が考え付かないブレークスルーをAIが見つけるかもしれない」と期待する。昆虫や犬の目は人と異なる光の波長を感じ、同じ対象物でも見え方が違うのと同様だという。
「優秀な研究者の育成だけでなく、これからは優れたAIを作り出すことも重要だ」と指摘。非常識と思えることの中から革新を生み出すことも、コーポレート研究所の使命とみる。
米国がリードするMIは、低分子化合物で成果が出つつあるが、高分子は分子量の幅や配列の乱れがあり複雑だ。それだけにビッグデータ(大量データ)分析で外部のデータサイエンティストの協力も必要になりそうだ。
外部活用例として住友化学は8年ほど前、英ケンブリッジ大学発ベンチャーの「ケンブリッジ・ディスプレー・テクノロジー」(CDT)を子会社にした。著名外国人研究者の紹介や、他機関の技術のタネ探しでのパートナーとなる。研究所の職員数は、同研究所が約250人に対し、CDTは約100人になる。さらに、何人分との表現を超えるAIによるMIを味方に、住友化学は革新技術の開発に乗り出そうとしている。
(編集委員・山本佳世子)
(火曜日に掲載)
▽所在地=茨城県つくば市北原6▽電話=029・864・4160▽主要研究テーマ=基盤技術、高分子有機EL、有機薄膜太陽電池、エネルギー関連材料▽研究者数=約250人
(2016/11/22 05:00)
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