[ 政治・経済 ]
(2016/12/16 20:30)
安倍晋三首相は16日午後、ロシアのプーチン大統領との首脳会談後の共同記者会見で、「特別な制度」に基づく共同経済活動に関する交渉を進める考えを示した。日ロ経済協力総額は3000億円規模。しかし、北方四島の帰属問題と名称では一致せず、共同声明の形を取らず「プレス声明」の形で発表した。
両首脳は15日と16日の両日、山口県長門市と都内で会談、北方四島の経済活動共同声明を発表する予定だった。しかし最後まで「領土問題は存在しない」の立場のプーチン大統領との溝は埋まらず、日本側のプレス向け声明では「択捉、国後、色丹および歯舞群島における共同経済活動」と表記したのに対し、ロシア側のプレス向け声明では「南クリル諸島」の呼称で発表する異例の声明となった。
プーチン氏は会見で「歴史のことに触れたい」と述べ、1855年のプチャーチンとの日露和親条約やその3年後の日露修好通商条約、日露戦争後の日本の旧樺太(サハリン)領有問題、米国の沖縄返還まで踏み込んで「南クリル(北方四島)はロシアが取り戻したものだ」と主張した。
共同経済活動について安倍首相はプーチン氏をファーストネームの「ウラジミール」と呼び、「日ロ平和条約締結に向けた重要な1歩と一致した」と評価した。
四島共同経済活動について安倍首相は「この制度は日ロ両国間にのみ適用される」とした上で、「日ロ両国の平和条約問題に関する立場を害さないという共通認識の基に進められる」と述べた。また、「平和条約の締結に向けた重要な1歩になる」と経済協力が平和条約の締結への一里塚になると強調した。
首脳会談には関係閣僚のほか日ロ交流促進官民連絡会議代表世話人の坂根正弘コマツ相談役、飯島彰己三井物産会長、経団連日本ロシア経済委員長の朝田照男丸紅会長らが出席した。
エネルギー、医療、情報通信分野など12件の政府間協力案件に加え、丸紅、国際石油開発帝石(INPEX)、ロシアの国営石油会社のロスネフチなどとのサハリン沖での資源開発など、民間協力案件68件を約束した。
(2016/12/16 20:30)