[ 政治・経済 ]
(2016/12/22 12:30)
政府は22日午前、子育て支援や研究開発の促進など脱デフレに向けた経済再生策に重点配分する2017年度予算案を閣議決定した。国の基本的な予算規模を示す一般会計総額は97兆4547億円と5年連続で過去最大を更新した。医療・介護での高齢者の負担増や制度改正で歳出の伸びを抑制。新規国債発行額は16年度当初をわずかに下回り、安倍晋三首相が掲げる経済再生と財政健全化の両立は辛うじて維持する。
政府は年明けの通常国会に予算案を提出し、今年度末までの成立を目指す。
一般会計総額は16年度当初比7329億円増。このうち国の政策経費である一般歳出は5305億円増の58兆3591億円。政府は財政健全化計画で一般歳出の伸びを16年度からの3年間で1兆6000億円(年約5300億円)に抑制する目安を掲げており、16年度に続きクリアした。
最大の歳出項目である社会保障関係費は、過去最大の32兆4735億円。高齢化が進む結果6400億円の増加が見込まれていたが、所得に応じた高齢者の医療費負担増や高額薬「オプジーボ」の公定価格(薬価)引き下げなどの改革を通じて4997億円に伸びを抑えた。
また1億総活躍社会の実現に向けた保育士・介護人材の処遇改善に952億円を投じるほか、給付型奨学金制度を17年度から一部実施する。
人工知能(AI)やロボットといった先端分野の研究開発などを含む科学技術振興費は0・9%増。訪日客を呼び込む「観光立国」に向けて観光予算は5%強増やす。
防衛関係費は、中国の活動を念頭に置いた周辺海域の警戒や北朝鮮のミサイル発射への対応強化などで過去最大の5兆1251億円に増額。公共事業関係費も5兆9763億円と5年連続で増加する。地方交付税交付金は地方の安定的な財源確保の観点から2860億円増。国債の元利払いに充てる国債費は日銀のマイナス金利政策の効果を織り込み23兆5285億円に減らす。
歳入は、税収が57兆7120億円と1080億円増えると見積もった。税外収入は6871億円増で、外国為替資金特別会計の剰余金見込み(2兆5188億円)を6年ぶりに一般会計に全額繰り入れる。この結果、新規国債発行額は622億円減の34兆3698億円と、7年連続の減額にこぎ着けた。(時事)
(2016/12/22 12:30)