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[ エレクトロニクス ]
(2017/1/6 05:00)
【米ラスベガス=錦織承平】世界最大の家電見本市「CES2017」が5日、開幕した。今年で50周年を迎えたCESは数年前から自動車用や産業用まで、先端技術を広く展示する場となった。ただ、家電製品でも日本、韓国、中国の各社がテレビの旗艦モデルを披露したほか、モノのインターネット(IoT)関連製品もこぞって発表。ユーザーの心をつかもうとしのぎを削っている。
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【中国勢突き放す】
テレビ市場はTCLやハイセンスなど新興の中国メーカーが日本、韓国勢を追い上げる構図。日韓各社は最新技術を採用し、中国勢を突き放す構えだ。ソニーはフルハイビジョンの4倍の解像度の「4K」有機エレクトロ・ルミネッセンス(OLED)テレビを17年内に世界で投入する。
OLEDでは後発ながら、バックライト不要でシンプルなパネル構造を利用して画面全体を振動させる方式のスピーカーを業界で初搭載し、音と映像を一体化して伝える。平井一夫社長兼CEOは「ユーザーと1インチの近い距離でつながる」と述べ、ユーザーインターフェースへのこだわりを強調した。
パナソニックは欧州向けOLEDテレビ新製品を発表。17年にも採用が始まる高画質技術(HDR)の新規格HLGにいち早く対応した。OLEDテレビで先行し各社にパネル供給する韓国LG電子は17年に投入する薄さ2・57ミリメートルの壁掛け式超薄型テレビを初公開した。韓国サムスン電子も新しいナノ(10億分の1)サイズの金属材料(量子ドット)を採用して色域を広げた液晶テレビを投入する。日韓各社は旗艦モデルを先端技術で強化し、優良顧客をつなぎとめる狙いだ。
【音声入力で購入】
テレビのほかに各社の動きが目立つのはインターネットに接続してユーザーの利便性を高めるIoT家電だ。LG電子は米アマゾンの技術を採用し、音声入力で操作して食材などをインターネット購入できる冷蔵庫を開発した。中国レノボも同技術を使い、家電をまとめて操作するデバイスを開発した。いずれも17年の発売を予定する。
パナソニックとLG電子はそれぞれロボット製品も発表した。音声認識技術で人とコミュニケーションし、家電の操作・管理のほか、映像をプロジェクター投影するなど家庭にさまざまなサービスを提供する。IoT家電はネットとつながる技術よりも、いかにして人と心地よくつながるかに各社の意識が向いている。
(2017/1/6 05:00)