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[ 化学・金属・繊維 ]
(2017/1/30 05:00)
新日鉄住金など鉄鋼大手3社と大阪大学接合科学研究所の藤井英俊教授らは、中高炭素鋼の薄板同士を摩擦熱で接合する線形摩擦接合(LFW)技術を確立した。薄板同士を水平に突き合わせ、1秒間に最大50回、振動幅1ミリ―2ミリメートルの往復運動ですり合わせることにより、接合面が発熱し、数秒程度で接合する仕組み。厚さ約2ミリメートルの薄板を溶接以上の強度で接合させることに成功した。
産学連携で自動車など輸送機器の軽量化に向けた新素材研究を行う新構造材料技術研究組合(ISMA、東京都千代田区)の1テーマ。ISMAでは高価な合金の使用量を減らすことを目的に、中高炭素鋼で高強度化と加工しやすさを両立させ、自動車用鋼板などの軽量化に貢献できる研究を多数展開中。
LFWもJFEスチール、神戸製鋼所を含めた鉄鋼大手3社がISMAを拠点に阪大へ研究委託する形で進めている。
一般に炭素量0・3%以上の中高炭素鋼を溶接すると、硬くてもろいマルテンサイト相が生じ、割れやすくなる。LFWでなら、マルテンサイト相が生じない723度Cより低い温度で接合できることを確認した。「中高炭素鋼はプレス成形性の面で使いにくいと言われるが、いちばんの問題は接合。それが可能になる」(藤井教授)と、実用化へ最大の障害を取り除けるとしている。
しかも、接合は数秒で済むため、加工時間の大幅な短縮にもつながる。技術的には確立できたため、専用設備を製作すれば実用化できるとしている。また、原理的には鉄とアルミニウム、マグネシウムなど異種金属同士の接合も可能。今後は複数の金属を適材適所で使い分け、軽量化につなげる「マルチマテリアル」へ展開させる意向だ。
現在、LFWはニッケルやチタンの接合に使われ、航空機エンジンのタービン組み立て工程などで利用されている。それ以外では「あまり知られていないし、使おうという発想もない」(同)ため、鉄やアルミでの採用例はほとんどないという。
(2017/1/30 05:00)
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