[ 政治・経済 ]
(2017/2/3 10:00)
【ワシントン時事】トランプ米大統領は2日、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しに向け、締結国のメキシコ、カナダや国内関係者との協議を「できる限り加速する」と表明した。再交渉の米国代表に、商務長官候補のウィルバー・ロス氏を起用する意向も示した。再交渉は5月にも正式に始まる公算が大きい。
トランプ氏は上下両院議員との会議で「NAFTAは米国の労働者、企業にとって壊滅的な協定だ。雇用や事業の流出を招いている」と主張し、早期に「不公平な内容」を改めると訴えた。トランプ氏はメキシコに対する貿易赤字の削減を重視しており、優遇してきた域内の関税条件などを厳しくする意向。域内に生産網を展開する日本の自動車メーカーは投資戦略の変更を迫られる。
米政府は正式に通商交渉を開始する90日前に、議会に交渉開始の意向を通知する必要がある。トランプ氏の挑発的な発言から、メキシコのペニャニエト大統領との首脳会談は中止されたが、トランプ氏は「NAFTA見直し」の公約を実現するため、事前協議を加速し、早期に再交渉を始めたい考え。ロイター通信によると、メキシコ政府も5月初めごろに正式に交渉に入るとの見通しを表明している。
NAFTA再交渉や事前協議を主導するロス氏は、「貿易不均衡の是正」を重視するトランプ氏の経済顧問団の重鎮。米国の通商交渉は原則として通商代表部(USTR)代表が指揮してきたが、トランプ氏はロス氏を重用する異例の体制で臨む。
(2017/2/3 10:00)