[ 政治・経済 ]
(2017/2/11 09:00)
【ワシントン時事】安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、トランプ米大統領とホワイトハウスで初の首脳会談を行い、日米同盟と経済関係を一層強化していくことで一致した。両首脳は、貿易の枠組みや投資・雇用拡大策を協議するため、麻生太郎副総理とペンス副大統領らによる「分野横断的」な経済対話を創設することで合意。中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と確認した。首相は大統領の年内訪日を招請し、大統領も受け入れた。
会談は昼食会を含め約1時間40分に及んだ。両首脳は成果文書として、安全保障と経済の両面での協力強化をうたった共同声明を取りまとめた。声明では、日本防衛で核戦力を含む米国の抑止力提供を再確認するとともに、尖閣への安保条約適用も明記した。
日本側の説明によると、新たな経済対話のテーマは、(1)財政、金融などマクロ経済政策の連携(2)インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙での協力(3)2国間の貿易枠組みの協議―と決まった。トランプ政権が環太平洋連携協定(TPP)離脱を決めたことから、今後、日米間で自由貿易協定(FTA)の交渉に入るかどうかが焦点となる。
経済協力に関し、首相は共同記者会見で「日本は高い技術力で大統領の成長戦略に貢献し、米国に新しい雇用を生み出すことができる」と表明。「経済関係を一層深化させる方策について、分野横断的な対話を行う」と述べた。大統領は「貿易関係を自由で公平な、両国が恩恵を受けるものにしたい」と語った。
同盟強化では、大統領は会見で「日本の安全保障に関与する。日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の礎石だ」と明言。米軍の日本駐留に「感謝する」と述べた。首相同行筋によると、大統領から在日米軍駐留経費の負担割合に関する要請はなかった。
首相は「日本も積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていく」と表明。自衛隊の役割拡大など具体策を外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で検討することにした。両首脳は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設推進でも一致した。
東・南シナ海情勢に関し、力による一方的な現状変更に反対する立場を確認。声明に「拠点の軍事化を含め緊張を高め得る行動を避け、国際法に従って行動することを求めると明記し、中国をけん制した。北朝鮮の核・ミサイル放棄も求めた。
大統領は会見で中国との対話を進める意向を示した上で、「うまくやっていける。日本にも利益になる」と指摘。日中両国の対応を一時批判していた為替問題は、財務相間で協議を続けることになった。
◎日米首脳会談のポイント
・日米同盟と経済関係の強化を確認し、共同声明を発表
・麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領らによる分野横断的な経済対話の枠組みを創設
・沖縄県・尖閣諸島に日米安全保障条約第5条が適用されると確認。米国は日本の安全保障に関与。日本は同盟でより大きな役割を果たす
・米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設を推進
・トランプ大統領は在日米軍の受け入れに謝意を表明。駐留経費負担に関する要請はなし
・東・南シナ海での力による現状変更に反対
・北朝鮮に対し核・弾道ミサイル開発の放棄を強く要求
・為替政策は財務相間で協議
(2017/2/11 09:00)