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[ エレクトロニクス ]
(2017/4/11 19:30)
東芝は11日、2度にわたって延期した2016年4-12月期決算について、監査法人が決算に「適正」か「不適正」かの意見を示さない「結論不表明」という形で、関東財務局に報告書を提出した。監査法人から「適正」との見解を得られないままでの決算発表は異例。前例のない3度目の決算延期は回避したが、「不表明」の決算報告は上場廃止基準に抵触する恐れがあり、東証は審査に入る。
東芝が発表した16年4-12月期連結決算は、米原発事業に絡み営業損益ベースで7166億円の巨額の関係損失を計上。当期純損益は5325億円の赤字と、従来見通しの4999億円の赤字から拡大した。17年3月期の通期業績予想は示さなかった。
綱川智社長が同日記者会見し、決算内容や内部統制問題が指摘される米原発子会社ウェスチングハウス(WH)に対する監査法人の調査状況を説明した。
東芝は経営破綻したWHの内部統制問題に関する監査法人などによる調査を理由に、決算報告書の提出と発表を2月と3月に延期した。監査法人は巨額損失を招いたWHによる米原発建設会社買収の会計処理に絡んで、経営陣から部下への不適切な圧力や事前に損失を認識していた可能性などを調査。11日提出した監査報告書では「結論不表明」とした理由を「調査結果に対する評価は終了していない」と説明した。
これに対し、東芝側は「(WHで)不適切な圧力とみなされる言動は認められるが、財務諸表に影響はなかった」と指摘。過去の決算で「損失を追加認識すべき具体的な証拠はなかった」と反論した。
事業継続に疑義-初の決算短信記載
東芝は11日発表した2016年4-12月期連結決算短信に、企業としての存続に疑義が生じたことを示す「継続企業の前提に関する注記」を記載した。米原発事業に関する巨額損失の計上で、昨年12月末時点の連結株主資本が約2257億円の債務超過に陥ったため。
この注記は、業績や財務が著しく悪化して事業の先行きが危ぶまれる際に、投資家に注意喚起する目的がある。東芝が記載するのは初めて。
東芝の格付けは、財務悪化を受けて信用力に問題があるとされる水準にまで低下。借り入れの一部が融資の前提となる「財務制限条項」に抵触し、金融機関から一括返済を求められる可能性がある。このため、東芝は短信に「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在している」と明記した。(時事)
(2017/4/11 19:30)