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【通商弘報(ジェトロ)】優遇措置が魅力も通常の工業団地との差異に要注意-ホアラック・ハイテクパークへの進出手続き-(ベトナム)

(2017/5/11 05:00)

ハノイ発 

2017年05月10日 

  ハノイ市西部に位置するホアラック・ハイテクパークは、ベトナムの国家プロジェクトで、最新技術の移転、開発の中心となる科学技術都市の建設を目指している。入居企業は各種優遇措置を享受できる。しかし、公的なハイテクパークという特性から、入居手続きが通常の工業団地とは異なる点に注意が必要だ。ただ、同ハイテクパークによると、ハイテクパークに入居しなくても優遇措置が受けられる「ハイテク企業認定」に比べれば手続き面での優位性もあるという。 

資料PDFファイル(213  KB) 

<日本のODAなどで進むインフラ整備>

  ホアラック・ハイテクパーク(以下、ハイテクパーク)は1998年に設立された。総面積1,586ヘクタール(東京都渋谷区は約1,500ヘクタール)の区画が徐々に整備され、これまでに3つの大学を含む78件の投資が認可されている。現在ではハノイ市内からの高速道路が整備され、同市中心部から1時間程度でアクセスが可能だ。また、日本のODA活用などによるハイテクパーク内のインフラ建設も進み、企業も徐々に進出しつつある(添付資料の表1参照)。最近では、2016年における計9件、2億ドルの投資案件の承認や、ハイテクパークと同市内を結ぶバス高速輸送システム(BRT)の導入計画が報じられるなど、関連報道も少なくない。

<入居には研究開発に対する一定の支出などが要件>

  入居企業には各種優遇措置が設けられている(添付資料の表2参照)。ハイテクパークに進出する場合には、投資法および企業法に基づき、通常の工業団地への進出と同様に、投資登録証明書(IRC)と企業登録証明書(ERC)を取得し、投資プロジェクトを実施するための企業体の設立が必要となる。これに加え、ハイテクパークには入居基準が設けられているため、IRCの発給に当たっては、投資プロジェクトがこの入居基準を満たしているか否かを審査されることになる。

  入居基準としては、(1)投資プロジェクトにおける技術・製品がハイテクであると認められること、(2)投資プロジェクトが研究開発に関する指標を満たしていること、が必要となる。

  (1)については、情報技術、バイオテクノロジー、新素材、自動化の4分野において、投資プロジェクトの技術・製品が、首相決定66/2014/QD-TTgで規定されるハイテク技術のリストおよびハイテク製品のリストと合致する必要がある。また、(2)については、科学技術省決定27/2006/QD-BKHCNに従い、以下の指標を満たす必要がある。

○研究開発に対する総支出(研究のための技術的基礎インフラ建設費、研究開発活動費、研究スタッフの訓練費を含む)が毎年の売上総額の5%を下回らないこと、または、研究開発活動に対する支出が毎年の売上総額の1%を下回らないこと。

○大卒以上の従業員で研究開発活動に直接従事する者がプロジェクトの総従業員の少なくとも5%であること。

○プロジェクトの技術ラインが先進的であること(技術ライン上での生産が自動化され、少なくとも3分の1の自動化設備がプログラムによって制御されることなど)。

○プロジェクトの活動分野において環境に関する基準および技術規格を順守すること。ISO14000のような環境に関する国際基準またはそれと同等の基準を満たしていることが推奨される。

<IRCの取得には評価委員会による審査が必要>

  ハイテクパークへの入居を希望する企業は、ハイテクパークの管理委員会が定める様式を使用して、管理委員会に対してIRCの申請を行う。申請書類の中で、企業は自身の投資プロジェクトが入居基準を満たしていることを説明する必要がある。

  申請内容の審査に当たっては、ハイテクパーク内に「プロジェクト評価委員会」が設置される。評価委員会には、投資プロジェクトの内容に合致した各分野の専門家が招かれ、入居基準を満たしているかの評価を行う。このため、IRCの申請から結果が出るまでに25営業日を要することになる(通常の工業団地への進出の場合は15営業日と規定されている)。IRCの取得を含む全体の手続きの流れは図のとおり。

<ハイテク企業認定より手続き面で優位と担当者>

  ハイテクパークに入居する場合とよく混同されるものとして、「ハイテク企業認定」がある。ハイテク企業認定とは、ハイテクパークに入居しない企業であっても、ハイテク企業としての基準を満たすことで、法人税の優遇措置を受けられるものだ。

  両者の大きな違いは、研究開発に関する指標だ。ハイテクパークに入居するための指標は、ハイテク企業として認定されるための指標よりも厳しく設定されている。例えば、研究開発活動に対する支出額は、ハイテクパークの場合には売上高比1%となっているが、ハイテク企業認定の場合は、売上高が1,000億ドン(約450万ドル)以上の場合は0.5%でよいことになっている。しかし、ハイテク企業認定は「ハイテク製品からの売上高が企業の毎年の売上高の少なくとも70%を占めていること」も指標の1つとなっており、企業が実際に営業活動を開始してからでないと申請できない。

  ハイテクパークの誘致担当者は「ハイテク企業認定は実際には難しい。これまでに認定を受けたのは17社にすぎない。ハイテク企業の認定申請には、指標を満たしていることを証明するため膨大な資料を提出する必要がある」として、ハイテクパークの手続き面での優位性を説明する。またハイテクパークによると、進出手続きの際には、インフラ供給事業者(FPTホアラック・ハイテクパーク開発会社、ビナコネックスの2社)のサポートを受けることができるもようだ。

 

 

(北嶋誠士)

(ベトナム)

(2017/5/11 05:00)

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