[ 科学技術・大学 ]

三井造、独社と提携 メタンハイドレート回収技術を確立

(2017/6/6 05:00)

  • EEZ内のメタンハイドレートの開発が進む(イメージ、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム提供)

三井造船は資源採掘システム大手の独MHヴィルトと、日本の排他的経済水域(EEZ)内におけるメタンハイドレート(用語参照)回収技術の確立に向けて業務提携する。海底からダイヤモンドを掘削するMHヴィルトの技術を応用し、日本海で存在が確認されている表層型メタンハイドレートの回収技術を確立する。メタンハイドレートは国産エネルギー資源として有望視される。一方、中国も開発を急いでおり、日本が研究開発を主導できるか、分水嶺(れい)にある。

三井造船とMHヴィルトは近く、日本のEEZ内に限定するなど技術の利活用範囲を定めた提携契約を結ぶ。

三井造船は経済産業省・資源エネルギー庁のプロジェクトに参画し、2016年度から表層型メタンハイドレートの採掘技術開発を調査してきた。将来の商業化を見据え、回収技術を確立する。

MHヴィルトはドリルの付いた円盤状の掘削器具で海底を掘り進め、管を通して海面上に鉱物資源を吸い上げる技術を持つ。海中を汚さない環境負荷が低い技術で、20年以上にわたりダイヤモンド生産最大手のデビアスが活用しているという。

一方、三井造船は天然ガスを氷状の固体物質にした天然ガスハイドレート(NGH)の輸送、製造技術を確立している。提携によって、両社の知見を組み合わせる。

海洋掘削システムの主要企業は世界20社程度とみられ、欧米企業がコア技術を握る。三井造船はガス生産貯蔵積出設備(FPSO)の世界大手である三井海洋開発(モデック)をグループに抱えており、商業化に当たってはモデック、MHヴィルトとの3社連携を検討する。

表層型メタンハイドレートは自噴せず、広い範囲に散らばっている。海を汚さず、経済的に掘削する技術が求められる。政府の海洋基本計画に基づき18年度まで複数の掘削技術の調査研究が行われ、今後の方向性を議論した上で19年度以降は本格的な研究開発に着手する見込みだ。

【用語】メタンハイドレート=メタンと水が低温・高圧の状態で結晶化した物質。日本の周辺海域に相当量が存在し、愛知県と三重県にまたがる渥美半島―志摩半島沖合では砂層型の産出試験が行われている。表層型メタンハイドレートは海底下100メートル程度までの表層近くに結晶状に存在。エネ庁は16年に、上越沖1カ所のガスチムニー構造(資源埋蔵の可能性を示す地質構造)で資源量を試算し、日本の天然ガス消費量の約2日分に相当する約6億立方メートルの存在が見込まれることを突き止めた。

(2017/6/6 05:00)

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