[ ロボット ]
(2017/6/21 05:00)
人口高齢化で経済成長抑制が始まるという時限爆弾を日本とドイツは抱えているかもしれないが、両国は共にロボット革命の主要候補地というプラス面を共有する。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスによれば、自動化やロボット技術の利用拡大が製造大国である両国でのインパクトを和らげる可能性がある。「労働力を必要とする活動をロボットがしてくれる限り、労働力人口の伸び鈍化が経済成長に与える悪影響を相殺する」と同社アナリストらは今月のリポートに記した。
65歳以上が人口全体に占める割合はドイツと日本で急上昇が見込まれる。だが、両国には追い風が吹く。製造業輸出はすでにドイツの国内総生産(GDP)の3分の1余りを占め、この割合は日本では12%。産業用ロボットの世界販売の約4分の3は中国、日本、米国、韓国、ドイツの5カ国に集中しており、自動車やエレクトロニクス業界で主に利用されている。
グローバル化によって国内の雇用が奪われると一部政治家が懸念をあおる中、ロボットを活用すれば労働コストの安い国・地域に移管した仕事の一部が戻ってくるかもしれない。とはいえ、戻ってくる仕事の数はそれ以前に失われた規模を下回るとも、ムーディーズは指摘した。
そうした中、新興市場国は負け組になる可能性がある。ハンガリーやチェコ、スロバキアはハイテク製品の輸出が国内総生産(GDP)の半分を超えるが、こうした新興国にリスクが差し迫っているかもしれない。賃金が安いインドやインドネシアなども、厳しい時代を迎えるだろう。ムーディーズのリポートは、「新技術が生産方法や貿易パターンを変える可能性があるため、一部の新興国経済は輸出市場のシェアを失うかもしれない」と指摘した。(ブルームバーグ)
(2017/6/21 05:00)