[ ICT ]
(2017/7/17 23:30)
米IBMは17日、1日あたり120億回以上ものデータ暗号化処理が行える次世代メーンフレーム(大型汎用コンピューター)「IBM Z」を発表した。現行のx86ベースのシステムの18倍の速度で暗号化処理が行える。アプリケーションソフトやクラウドサービス、データベース(DB)などについて、データのセキュリティーを強化するための全面的な暗号化処理をいつでも高速に実行できるという。
金融やヘルスケア、政府関連、小売業などでのデータ保護に役立てられる。このマシンを使って、欧州連合(EU)で2018年に導入され、EU内のすべての個人のデータ保護強化を求めたEU一般データ保護規則(GDPR)をはじめ、企業・政府組織の国際的なデータ保護規制への対応を支援する。
一方で、IBMがダラス、ロンドン、フランクフルト、サンパウロ、東京、トロントの世界6カ所に設けているクラウド・ブロックチェーン・データセンター(DC)に暗号化エンジンとして導入する。
IBM Zは3年以上の歳月をかけ、世界中のCISO(最高情報セキュリティー責任者)やデータセキュリティー専門家、それに150社以上の顧客の意見を取り入れて開発された。暗号化処理のコストもx86ベースのプラットフォームの5%程度。ハッカーの侵入を検知すると自動的に暗号化キーを無効にする機能も設けた。
IBMによれば、世界で多発するサイバー犯罪により、2013年以降で90億ものデータ記録が失われたり盗まれたりしているのに対し、暗号化されていたのはわずか4%に過ぎなかったという。
暗号化の処理コスト以外に、現状のx86ベースのプラットフォームで暗号化処理を行うとシステムのパフォーマンスが落ちるのがその理由。そのため、モバイル関連ではデータの80%が暗号化されているのとは対照的に、コーポレート関係ではデータの2%程度しか暗号化されていないという。
(2017/7/17 23:30)