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[ 科学技術・大学 ]
(2017/7/24 05:00)
大阪大学産業科学研究所の田中秀和教授とイタリア・ジェノバ大学物理学科のダニエル・マーレ教授らは、機能性酸化物セラミックスを使用したNEMS(超微小電気機械システム)高周波アクチュエーターを開発した。数ボルトの直流電源で大きな機械変位を生じる。今後、超微細ロボティクスへの展開を目指し、共同研究を続ける。
電気抵抗を高い状態から低い状態に急激に変化する現象でスイッチングデバイスやセンサーなどへの応用が期待される「金属―絶縁体相転移」現象を利用。3次元造形技術により同現象を起こす単結晶の二酸化バナジウムの細線を作製した。
幅400ナノメートル(ナノは10億分の1)の細線は基板から浮き上がって基板と接触しないため、基板に熱が拡散せず効率よく物性が変化する。NEMS動作の研究で先行していたジェノバ大と連携し、局所的な通電加熱による構造の相転移でアクチュエーターを動作させることに成功した。
3次元独立構造は作製後でも自由に構造を変更できるが、作製が困難。田中教授らは酸化マグネシウム基板上に酸化バナジウムを薄膜蒸着し、基板をエッチング(腐食作用による表面加工)で取り除くことで立体構造を実現した。
これまで機能性酸化物を利用した薄膜デバイスの研究が世界中で行われているが、硬くもろいため3次元的な立体構造を作ることが難しかった。
(2017/7/24 05:00)
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