[ 機械 ]
(2017/8/4 05:00)
【ライン対応ヨコ型マシニングセンタ LB70】
高さのコンパクト化で機械越しに工場全体を見渡せる―。ホーコス(広島県福山市、菅田雅夫社長、084・922・2600)が開発した量産ライン向けヨコ型マシニングセンター(MC)「LB70」は、主要顧客の自動車部品メーカーなどから求められていたという背丈の低い工作機械の“進化版”だ。
「営業がキャッチした顧客からの製品ニーズをもとに、開発の方向性が定まった」と、池田邦弘取締役開発企画本部長は振り返る。LB70の前身で2014年に市場投入した「LA70」は、高さ1800ミリメートル。「工場全体を見渡しやすいように高さを1600ミリメートルまで下げて、作業性や安全性を高める」(開発企画部開発2課の大本真揮課長)と、もう一段階踏み込んだ開発に着手した。
可動ユニットのうち、高さに関連する上下(Y)軸を主軸側から治具側に移すなど、配置を見直した。治具が搬送装置まで移動可能でワーク(加工対象物)の受け渡しも容易になったが、「工作機械は10―20年使う寿命の長い製品。その中でメンテナンス性を犠牲にせず、機械をつくる苦労はあった」と、開発チームをけん引した大本課長は振り返る。
製品デザインも、コンパクトさを際立たせている。LA70は機械上部に上下軸の駆動モーターが突起物のような状態であり、実質的な高さは1800ミリメートル以上。「今回は1600ミリメートルから上には何もない」(池田取締役)状態にこだわった。配線回りも折りたたむなどの工夫をして、長方体を実現した。
すっきりした形状は工場内のデッドスペースをなくし、MCを並べた際は美しいシルエットが浮かび上がる。工場レイアウトの効率化に貢献できるデザインであり、機械高さを抑えて見渡せることで安全性に寄与する。
今後のホーコスの工作機械事業をけん引する製品の完成に、菅田社長は「開発はもちろんだが、関係部門も奮起した」とねぎらう。
(福山支局長・林武志)
(2017/8/4 05:00)