[ 機械 ]

第47回機械工業デザイン賞(9)日本工作機械工業会賞−ソディック

(2017/8/10 05:00)

  • 「MR30」と(右から)合葉執行役員、藤川専務、北村係長、高倉部長

【eV―LINE OPM金型専用生産セルシステム「MR30」】

ソディックが金属3Dプリンター「OPM」を発表したのは2014年7月のこと。同社の収益向上や世界の製造業に変化をもたらすとの期待値は高く、発表直後のソディック株は連日ストップ高となった。実際、プラスチック金型づくりを大きく変え得る。例えば生産性に寄与する冷却配管の最適設計だ。現状の多くは成形品の形状が優先され、配管は後回し。すると効率的な金型冷却が犠牲になる。一方、金属プリンターの積層造形では形状と冷却を両立できる。

ソディックの高倉茂部長は「『MR30』はOPMで作った金型を最大限生かせる」と誇る。特に冷却については、OPMで最適設計された配管を使い尽くす工夫が施されている。配管に通す液体を2温度制御できるのだ。北村裕宏係長は「他より厚く熱がこもりやすい箇所には、通常より低い温度の水で集中して冷やす」と説明する。この局所冷却で冷却時間を短くし、いち早く次の成形にかかれる。ある条件では冷却時間を半減させる成果を得た。

多品種少量の成形は金型交換の頻度が高い。段取り替えの時間短縮は生産性向上のカギだ。効率的な冷却は金型交換でも生かされる。取り外ししやすい独自のカセット金型の採用効果などもあり、これまで1時間以上要していた交換時間を10分以内に圧縮できた。

これほどの短時間であればプラスチックの劣化を避けられ、「中型機で5キログラムほどとされる、再稼働時に捨てる材料をなくせる」(合葉修司執行役員)とコスト面、環境面で利点がある。

MR30は、従来ユーザーが別々に購入していた温調機や粉砕機といった周辺装置が組み込まれた一体型なのも特長だ。各装置でしていた操作を、MR30本体で一括にできる。結果、データの一元管理が容易になり、「これまでおかしくなってから気付いたようなことを、事前に把握・管理できるようになる」(藤川操専務)と品質の向上に役立つと強調する。多品種少量時代の高効率、高品質成形をかなえる製品となった。(六笠友和)

(2017/8/10 05:00)

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